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建設新聞社(長崎)
2017/10/24

【長崎】都道府県で初 履行確実性評価方式を試行

長崎県 国の通知踏まえ総合評価で新方式
   本年度9件試行予定 今月末に島原振興局で初弾
 県は、総合評価落札方式で「履行確実性評価方式」の試行を決めた。本年度9件の工事で試行を予定しており、初弾として島原振興局が「主要地方小浜北有馬線道路改良工事(切土2工区)」を今月末にも公告する見通し。都道府県で同方式を採用するのは初の試みだという。
 同方式は、最低制限価格と同額の「履行確実性評価価格(評価価格)」を設定した上で、同価格を下回ると履行の確実性が低下するとして評価値を低くするもの。評価値は評価価格に近づくほど高く、離れるほど低くなるよう設定。従来は、最低制限価格を下回ると失格になっていたが、今回の方式では、評価価格を下回っても失格にはならず、書類審査やヒアリングなども行わない。評価価格を下回っても落札する可能性が残される。
 県では最低制限価格(および評価価格)の算出にランダム係数を採用。これまでは、仮に高く評価できる技術提案をしても、ランダム係数により最低制限価格を1円でも下回った場合は一律失格になっていた(2016年度の県の総合評価実施件数114件中、最低制限価格で失格になった件数69件)。履行確実性評価方式の導入で、このケースが救済されることにもつながる。
 今回の試行は、国土交通省と総務省による9月末の通知を踏まえたもの。ここでは、総合評価方式の入札には最低制限価格が採用できないとする地方自治法施行令での規定を挙げ、別の方法を採用しつつ、ダンピング受注の防止対策を徹底するよう要請。
 総合評価で最低制限価格を採用していた多くの自治体は、低入札価格調査制度に切り替えている。しかし長崎県では、追加資料の提出や聞き取り調査などが必要な低入札価格調査制度ついて、資料作成や調査の負担、多大な審査日数による落札決定までの期間増などを問題視。県がWTO対象工事で実施している施工体制確認型も同様の問題点を挙げ、熊本市など一部自治体で導入している履行確実性評価方式の試行を決めた。
 県では、10月末から来年1月にかけて入札する本年度の試行結果を踏まえ、業界の意見も聞きながら来年度の取組方向を検討する。

   本年度の試行工事予定
 本年度の試行工事予定は次の通り(@工種A工事概要B工期C総合評価タイプD入札公告予定時期E発注機関)。
 ▽千代譲川(ニ)通常砂防工事(長崎市布巻町)@土木一式A本堰堤工1基・渓流保全工133bB27カ月C特別簡易型【事後・同時】D2017年11月E長崎振興局
 ▽深堀団地大規模改修工事(B―6棟)(長崎市深堀町)@建築一式A共同住宅RC5F・エレベーター増築、耐震改修・住戸内部改修B8カ月C特別簡易型D17年12月E住宅課
 ▽一般県道諫早外環状線道路改良工事(切土工6)(諌早市川床町)@土木一式A延長100b、土工1万5000立法b、擁壁工200bB12カ月C特別簡易型【事後・同時】D17年11月E県央振興局
 ▽主要地方小浜北有馬線道路改良工事(切土2工区)(雲仙市小浜町)@土木一式A延長0(75)b、土工2万9800立法b、排水工251bB270日間C特別簡易型【事後・同時】D17年10月下旬E島原振興局
 ▽主要地方道佐々鹿町江迎線道路改良工事(2工区)(佐世保市鹿町町)@土木一式A延長230b、掘削6400立法b、盛土2600立法b、補強土壁工128平方b、ブロック積114平方bB10カ月C特別簡易型【事後・同時】(担い手育成)D17年11月E県北振興局
 ▽端免地区地すべり対策工事(1工区)(松浦市福島町)@とび・土工・コンクリートA杭打工30本B400日間C特別簡易型D17年11月E県北振興局
 ▽壱岐南部地区増殖場整備工事(壱岐東部2工区)(壱岐市芦辺町)@土木一式A増殖場工1式B6カ月C特別簡易型【事後・同時】D18年1月E漁港漁場課
 ▽一般国道382号道路改良工事(4工区)(対馬市上県町)@土木一式A延長70b、 大型ブロック350平方bB6カ月C特別簡易型【事後・同時】(担い手育成)D17年11月E対馬振興局
※このほか、上五島支所で年内公告案件を選定中
ksrogo