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北陸工業新聞社
2017/10/24

【富山】若者入職促進へ保護者と懇談/県建設業協会が富工、工芸高訪問/建設業の魅力など紹介

 富山県建設業協会は21日、富山工業高校と高岡工芸高校の保護者を対象とした懇談会を開いた。両校の学園祭に合わせての開催。
 生徒の進路をアドバイスする立場にある保護者と意見を交わすことで、地域建設業の状況や建設技術者の仕事に理解を深めてもらい、若者の入職促進につなげる目的で実施したもの。同協会では15年度から、建設系学科のある県内の高校で順次行っている。
 懇談会は午前に富山工業高校、午後に高岡工芸高校でそれぞれ実施された。
 このうち、富山工業で開いた懇談会には、建設業協会の竹内茂会長、高田均副会長、高野二朗理事、牧田潔専務理事ら、県土木部から建設技術企画課の茂崎忠博主幹、同校卒業生で技術者の伊藤洵氏(朝日建設)、谷本小百合氏(スター総合建設)が参加。土木工学科、建築工学科に通う生徒(1、2年生)の保護者18名が出席した。
 冒頭、あいさつに立った富山工業高校の篠原俊一郎教頭は、「懇談会は貴重な機会。工業の現場では、どの時代もしっかりとした実践的な技術を身に着けた人材を必要としている。昨今、若手の人材不足が叫ばれ、特に建設界では深刻であり、人材の掘り起しに必死に取り組んでいる」と述べた上で、「県内の建設系高校は少なく、本校の生徒は貴重な存在。業界の受け皿は大きく、生徒は知識・技術の取得、資格取得に一生懸命取り組み、進路については早めに準備をしている。本日の懇談会により、建設界の現状などに一層理解を深めていただきたい」と話した。
 竹内会長は、「建設業は地域の発展、生活基盤を支える公共事業を行い、生活する方の環境を整える民間工事を整備している。インフラの修繕や補修、地震や集中豪雨による災害時にはその処置や復旧にあたり、住民の足の確保に不可欠な除雪作業も行う。建設業は、地域社会に欠くことのできない産業であり、将来に渡りなくなることのない産業」と説明。
 さらに、「建設業界では近年、若者の入職が進まず、技術者の高齢化が進行しており、将来に向けた技術の継承が困難と危ぐしている。当協会では入職を図るため、CMやポスターの作成、現場見学会などのPRを行ってきたが、思うような成果が出ていない。本日は保護者の皆様に、建設業の役割や仕事内容、現状を紹介し、建設業に抱く疑問や不安にお答えすることで、理解を深めていただく機会としたい。高校で学んだ建設技術を十分に生かすため、卒業生の皆さんを業界を挙げて歓迎したい」と訴えた。
 懇談会ではまず、建設業の役割を紹介するDVDを放映した後、建設業協会の牧田専務理事が「建設業の現状」、県土木部の茂崎主幹が「富山県の土木について」をテーマにそれぞれポイントを解説した。続いて、同校卒業生の伊藤、谷本両氏が入職のきっかけ、現在の仕事内容、建設業のやりがいや魅力などを伝えた。
 意見交換では保護者からの質問に対し、それぞれ回答。高卒、大卒で入職してから違いはあるのかとの問いに対しては、「待遇に関しては各社によって違う。また、資格を取れる年数も変わってくる」と答えた。どんな資格が必要なのかとの質問には、「施工管理の1、2級は一人前の技術者になるには必須」と説明した。
 女性ならではの苦労はあるのかとの問いに対しては、「差別はなく、損をしていることもない」と回答。在学中にしておくべきことはとの質問では、「資格も含めて、もっと勉強をしておけば良かった」とアドバイスした。
 なお、午後の高岡工芸高校でも同様に開催。土木環境科、建築科1、2年生の保護者25人が参加したほか、建設業協会から竹内会長、山本隆副会長、西村博邦理事ら、OBの技術者として、山西達也氏(射水建設興業)、松田勝広氏(塩谷建設)が出席した。

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