名古屋市環境局がごみ焼却施設「南陽工場」で新たに導入を計画している破砕設備について、学識経験者で構成する懇談会が20日、最も優位な施設配置の案を選んだ。不燃ごみピットと破砕機を収める別棟を新築し、選別設備については既存建屋内に設置。その上で日量50dを処理する施設を2系列整備する案が、施設運営の安定やスペース活用の観点からも優れているとして意見が一致した。局は今後、懇談会の意見を踏まえて破砕設備の配置を正式に固める。
南陽工場は、可燃ごみの焼却や溶融処理を担っている。老朽化した焼却施設の設備更新を計画しており、現在、環境影響評価の手続きを進めている。設備更新と合わせて、新規に導入する計画となっているのが、ごみの破砕設備だ。処理能力は日量100d程度を見込んでおり、環境影響評価配慮書では既存建屋内で炉とともに設置するA案と、新築する別棟内に設置するB案を併記していた。B案では、既設管理棟とストックヤードの間に別棟を配置する計画となっている。
20日の懇談会では破砕設備の配置について、既存建屋の再利用や火災対策、処理の安定性の観点から5案を比較検討。不燃ごみピットと破砕機、選別設備について、それぞれ既存建屋内で対応するケースと、新築する別棟内に設置するケースを比較した。また、系列数についても、日量100d1系列と、日量50d2系列で整備する場合を比較した。
最も優位とした案では、既存建屋内に選別設備と搬送設備を設置して有効活用。既設ピットは可燃ごみピットとして活用する。一方、駐車場や緑地については、別棟建設のため敷地内の別の場所に移動するとした。不燃ごみピットの容量は約5000立方bを想定。また2系列化により、片方の設備に故障が生じても、処理が停滞する恐れを減らすことができるとした。
同局は今後、懇談会での意見を踏まえ、正式に施設配置案を固める。2017年度内にも、環境影響評価の次の段階に当たる方法書を提出したい考えだ。
現在のところ、更新する焼却施設の処理能力は日量560dを想定。ストーカ式か流動床式の焼却炉を想定しており、2炉か3炉を設置する。既存建屋を残したまま、設備のみを解体撤去して入れ替える形を考えており、高度な施工技術が求められる。
工事の着手時期は明らかにしていないが、20年度にも南陽工場を休止させ、設備更新に着手するスケジュールを描いている。
提供:建通新聞社