県建設業協会(下本八一郎会長)は19日、県土整備部の山口真司部長らと懇談し、最低制限価格の引き上げや労務単価の改善などをあらためて提起した。下本会長は最低制限価格について「働き方改革やi−Conの推進は適正な利潤の確保が前提だ」と訴え、予定価格の95%への引き上げを強く求めた。
懇談会には県建協の下本会長や地区会長、県土から山口部長と両次長ら幹部17人が出席。最低制限価格で県土側は、昨年4月に予定価格の92%程度に見直したことによって、落札率は93・5%(今年8月現在)で推移しており、適正な水準に向けて引き続き検討すると答えた。
県建協は実態調査を実施して一般管理費の55%などを検証すべきと追求。また、現場の監理(主任)技術者の給与が現場管理費から支出されている現状に踏み込み、実態の把握により努めるよう求めた。
簡易評価型総合評価では、県建協が同一業者への受注偏重が見られるとして配慮を要望し、同時に格付けごとに未受注業者がなくなるよう要請した。
これに対し県土は、会社規模など施工能力が高い会社を評価する制度になっており、結果として受注に一定の偏りが生じる傾向に理解を求めた。その上で、土木一般B級の定数削減や「受注額」の分母上限を土木一般A・B級ともに13年度以降最低額に見直した点を付け加えた。
このほか、県建協は配置技術者の工事成績で、県と国交省の発注工種が異なる場合でも工事内容によって実績を認めてほしいと要望。県土は実績の認定範囲を拡大したいとし、個別に工事内容を審査する考えを示した。
全総合評価に低入調査
18年度適用に向け検討
また、県土は18年度から低入札価格調査制度の適用範囲を拡大し、全ての総合評価入札に導入する検討内容を説明した。国からの指摘を受けて見直すもので、現行の予定価格2億円未満の土木系建設工事でも調査基準価格を設定。さらに一定の価格を下回れば失格とする失格基準も新たに設ける。
調査基準価格の設定にあたっては、現行最低制限価格ラインの予定価格の92%程度とし、失格基準価格は予定価格の90%程度に設定。調査基準価格と失格基準価格のあいだでの応札では低入調査を実施する。
ただ、調査基準を下回る入札では「入札価格点数」や「施工能力点数」での減点措置を検討。実質、落札がしにくいダンピング対策を講じる。
併せて、予定価格の事後公表を前提に18年度から4000万円以上の土木工事は、調査基準価格と失格基準価格の算定式をそれぞれ公表を検討する。
これら低入調査制度の見直しについて、県土は「業界の意見をよく聞きながら検討していきたい」(県土総務課)と話し、調査基準を下回った際の減点方法などを中心に今後煮詰めていく。
日刊建設工業新聞