伝える努力で公響(こうきょう)事業≠フ実現を 土木の魅力どう伝えるか 研究討論 今年設立した(一社)ツタワルドボク(片山英資会長)が15日、ツタワルドボク学会・全国大会を開いた。福岡市の天神テルラで開かれた第1回大会には、未就学児から60歳代の50名以上が、九州だけでなく岐阜や兵庫県などからも参加した。
『「きっかけ」のつくりかた〜土木に興味が湧いてくる〜』をテーマにした今大会。福岡市の地下駐輪場建設現場を見学した後、テルラホールに会場を移動。片山会長が『今、ツタワルドボクが必要だ』と題して基調講演した。
片山会長は、大災害が起きると、地元建設業者が自らも厳しい状況に関わらず真っ先に現場に駆け付け、消防や自衛隊が帰った後も、地域の暮らしが元に戻るまで活動し続けることを説明。ただ、建設業者の多くが縁の下の力持ちで良い≠ニ思っていることや、商品・製品の良さを一般消費者にアピールする他産業と違い、発注者(官公庁)にアピールしてきた実態などを提示。土木(建設業)が市民に正しく理解されていないと指摘した。
その上で、会長が福岡北九州高速道路公社の職員当時に行った記者発表で、伝えたかったことと違う内容の報道をされた苦い経験に触れ、伝えること・伝え方の重要性を訴えた。今後は、産学官が連携して、土木を正しく広く市民に伝える努力をすることで、おおやけと響き合う公響(こうきょう)事業≠目指すべきとした。そして今回の学会がその「きっかけ」になることを期待した。
基調講演に引き続き、『土木の魅力どうすれば伝えられるのか』について研究討論。まず土木ファン≠代表し、▽福岡大学の渡辺浩教授が、福岡県大川市の依頼を受けて学生とともに木造の橋を架けたことや、子供たちがモルタルでミニチュアのモアイ像を製作したことなどを挙げ「モノをつくる経験の重要性」▽NPO法人・福岡テンジン大学の授業企画コーディネーター光瀬久美子氏が、同大学の授業として現場見学会を企画した経験などを挙げ「実際に現場に行き感じることの意義」▽広告会社勤務の山嵜公嗣氏が、橋脚でのボルダリング、直線道路での長距離ボーリング、ダム堤体でのパブリックビューイングなど「インフラをアソビバにして市民が土木好きになるきっかけとすること」―を主張。
その後、参加者が三つの主張に分かれて、具体的なアイデアの抽出とその実現に向けた手法などを議論した。