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建通新聞社四国
2017/10/20

【高知】高知県 土佐町の小水力発電所建設断念

 高知県公営企業局は、土佐町で計画していた小水力発電所の建設を断念した。用地の取得が難航しており、今後事業費を予算計上しても、当初より工事費の増加が見込まれ、さらに電力小売りの全面自由化により平均耐用年数(46年)以内の資金回収ができなくなる恐れがあることなどの要素が重なった。
 これまでの計画によると、小水力発電所は土佐町西石原にある高知分水「北郷谷注水口」の直下流に取水堰を設け、そこから延長575bの導水路トンネルを開設、高さ26・5bの落差を利用して一般家庭980世帯分に相当する年間305万`h時の発電を行うとしていた。
 2015年度当初予算には工事費3億4300万円と、18年度までの債務負担行為として14億8900万円を設定。しかし用地取得が難航し、翌年度に繰り越した上で不執行となっていた。
 その後同局は、資材費や労務単価などを見直し、前回より総事業費を2億4400万円増額した予算を9月補正で計上するため、土佐町とも連携し取り組んでいたが、用地取得には至らなかった。
 仮に12月以降の補正で予算計上となった場合、工事費の再積算や工事遅延、改正FIT法の制約による電力系統への接続工事費など事業費が追加されることになる。さらに電力自由化により、固定価格買い取り制度終了後の売電単価の不確実性が高まっており、発電施設全体の平均耐用年数以内での資金調達ができなくなるリスクが大きく、事業化を断念した。
 同局では「工事着手に向け、各段階での必要な手順を踏んで業務を進めてきたが、今回の事態に至った経緯をしっかり分析のうえ、今後の事業に生かしていかなければならない」と話していた。

提供:建通新聞社