名古屋市緑政土木局は、堀川のうち円頓寺・四間道の付近にあたる五条橋周辺を対象として、歴史的な景観やにぎわいに配慮した整備イメージを検討する。このため、「広域河川堀川改修工事に伴う設計業務委託(その3)」の一般競争入札を公告した。堀川ではこれまで、おおむね納屋橋より下流側を対象に河床掘削などの治水対策を進めてきた。今回の委託では、錦橋より上流側の治水対策を検討するのに合わせて、都心に近い歴史あるエリアにふさわしい整備の在り方を考える。
今回の委託業務の対象範囲は、錦通上にある錦橋から名古屋城そばの幅下橋までで、設計延長は1390b。この区間を「五条橋地区」と位置付けて全体整備方針を策定し、整備イメージと概算事業費を算出する。名古屋駅から名古屋城までのルート上にあるため、堀川沿いのまちづくりには河村たかし市長も力を入れているという。まずは、2012年に発表した堀川まちづくり構想や堀川総合整備構想、河川整備計画などを踏まえた整備イメージを固めていく。
その上で、方針を基に親水空間の整備を検討。また、堀川では市住宅都市局が中心となり、水上バスなどの観光舟運の拡大を検討中。今回の委託の中でも、広場とともに船着き場などの基本設計を行う。親水施設の基本的な整備形式や概算事業費までを詰めたい考えだ。
一連のにぎわいづくりと合わせて、下流部と同様に流下対策をはじめとした治水整備を実施する必要がある。委託では、錦橋から中橋までの区間を対象に、護岸設計や施工計画の策定を行う。老朽化した護岸を新たに鋼管矢板で打ち換えるとともに、両岸そばに堆積している土砂を中心に、1〜1・5b程度掘削する。
施工時の制約としては、下流部とは異なり、川幅が狭くなっている点がある。浚渫船での河床掘削が基本になるが、水上交通が増えると利用調整も発生する。また、施工時期が渇水期に絞られる可能性もある。
桜橋〜中橋間の工事に際しては、桜橋上流側から仮桟橋を設置して乗り入れることを想定。仮桟橋の設置に際し、桜橋を施工ヤードとして使用するため、上部工の安全性照査なども予定。さらに、錦橋、伝馬橋、桜橋、中橋の4橋について、計画河床高まで掘削した際の影響を検討する。
予算が措置されれば、19年度にも事業に着手したい考えだ。対象区間の工事は全体で15年度程度かかる見通しとなっている。
提供:建通新聞社