日本工業経済新聞社(茨城)
2017/10/04
【茨城】ICT支援協議会で出来形計測の効率化案提案/モデル工事事例報告も
県土木部や国土交通省、県建設業協会などの関連業界団体、建機メーカー、モデル工事施工業者などで組織する「いばらきICTモデル工事支援協議会」は2日、第2回会合を県薬剤師会館で開催し、モデル工事の検証結果などが報告された。モデル工事のコスト試算では、間接費削減によるコストダウンの可能性が示されたほか、宅地造成(一次)における出来形計測効率化案【別表参照】が提案された。県は9月末現在、施工者希望型のICT活用モデル工事を16件公告・発注しており、3件でICT導入が決定、4件で協議を進めている。
冒頭、協議会の委員長を務める県土木部の古平祐次総括技監と国交省総合政策局公共事業企画調整課の新田恭士企画専門官があいさつ。
続けて、国交省総合政策局公共事業企画調整課の久保恭伸施工調整係長が、ICT施工の最近の動向として、昨年度の実施状況や本年度に向けた取り組み、ICT舗装工について説明。16年度の結果から挙がったICT土工の課題@積算と実態が合わないAUAVのラップ率低減BTSを使えるようにして欲しい−のうち、UAVのラップ率(進行方向)を90%から80%に見直したことや、TS等をICT土工の対象として明確化するとともに、小規模工事に適用できる対象技術を拡大したことなどを報告。
本年度から実施しているICT舗装工については、ICT建機での施工は路盤の敷均し作業のみで、路盤の締め固めや舗装は対象外となっていることなどを説明した。
水郷建設梶i潮来市)は、モデル工事として施工した国道355号永山道路改良工事の施工フローを動画を使用し報告。また潮来市の発注工事で取り組んでいるICT舗装工事について紹介した。
続いて、県土浦土木事務所つくば支所発注のモデル工事(宅地造成工事)2件の効果検証を担当した日本建設機械施工協会施工技術総合研究所が事例を報告。
叶Vみらい(つくばみらい市)施工のF街区は当初、小規模ロットで整形しながら進める計画だったが、ICT導入に伴う検討で、施工範囲を大きく分割する方法に変更。丁張りレスとMC重機導入により、施工計画段階で従来施工に比べ約20日の工程短縮を期待し、工事に着手。実際は、施工範囲拡大により複数の重機稼動が可能となり、押土を行う通常ブルドーザを追加で投入した結果、土工着手から約1カ月で完了した。
IC導入部分(起工測量・丁張り削減・ICT施工)のみを対象としたコスト試算では、ICTシステム代は掛かるが、工期の短縮(61日→36日)により、建機のレンタル費用が削減できる上、丁張りの労務分も計算上削減できることから、間接費の削減分がコストとして浮く可能性があると試算した。
佐々木建設梶i土浦市)施工のD街区は、施工エリアが広く宅盤数が多いため、丁張設置時間削減効果が大きい。またバックホウによる法面整形で、従来施工、ICT施工、従来+ICTの3パターンを比較し、従来+ICTは従来施工より精度が高い上、目印を増やすことで、さらなる精度向上が図れるとまとめた。
また、法面整形6460uを対象に法面整形日当たり170uでコストを試算。丁張が必要ない分、間接費の削減が期待できるとした。
このほか、ICT活用工事では、出来形管理における面的な出来形計測に関する費用が計上されない上、小規模工事では、面的な計測に要する準備期間(標定点の設置)の手間が多い場合があることなどから、同研究所は、宅地造成(一次)における出来形計測効率化について提案。
一次造成工事など土工が継続される工事では、高密度な面的出来形計測結果を後の施工で利用する可能性が少ないことから、従来型の出来形管理とi−Construction管理の間に簡易版ICT管理を設けてはどうかと提案した。
具体的には、天端部計測は、各宅盤のグリット格子点および変化点を計測。設計高との標高差を確認し、簡易版ヒートマップを作成。法面部では、法肩と法尻を座標として取り、座標値に対しての基準高管理をする計測案を示した。
密度に関しては「これからD街区で検証を行い、県として一次造成工事での出来形管理を提案すると、さらに効率的な展開ができるのでは」と期待した。
その後、日立建機鰍ェ「ICT施工の普及に向けた取り組み」、コマツ茨城鰍ェ「茨城県ICT活用導入事例」を紹介。
最後に県が本年度の取り組み状況を説明。県は、9月末現在で施工者希望型のICT活用モデル工事を16件発注・契約済みで、このうち常陸大宮土木事務所発注の2件(国道123号道路改良舗装工事・(仮称)内原下川原線道路改良工事)と土浦土木事務所つくば支所の島名福田坪地区宅地造成工事(C30街区)の計3件でICT施工の実施が決定した。
潮来土木の国道355号道路改良工事の1〜4工区はいずれも協議中。なお、つくば支所では、11月下旬に本年度4本目となるICTモデルの宅地造成