県土木部が執行した2016年度の入札案件のうち、電子くじによる落札決定件数が全体の3分の1を占めたことが分かった。入札件数2983件に対して962件で抽選が行われ、その割合は32%。工種別では、とび・土工が7割超と驚くべき数字になった。業界が悲鳴を上げる「くじ運任せ」の実態が浮き彫りとなった格好だ。
県監理課への取材によると、同額入札による電子くじの対象となったのは、15年度が2609件のうち945件に上り、発生率は36%。16年度は若干低下したものの、依然として3件に1件程度の割合で抽選になっていることが分かる。
土木系の工種別発生割合は、土木一式が1512件中395件の26%(15年度29%)。このほか、舗装は549件中161件で29%(同34%)、とび・土工は390件中280件で71%(同69%)となった。今回、建築系の数字が示されなかったとはいえ、とび・土工での割合の高さは見過ごせない。
工種のバラつきはあるが、背景には「利益よりもまずは受注実績を…」と最低制限価格に張り付いた入札が増加し、さらに積算ソフト活用が広がっていることがある。技術力を加味した総合評価の導入も一定の件数にとどまっており、事態が好転する気配は見えない。
公平性をうたった同額抽選の裏側にある現実。打開策を求める声は多い。