17年度優秀施工者国土交通大臣顕彰で土工の「建設マスター」に輝いた豊岡組の酒井啓行氏。今回の栄誉について、「うれしいのはもちろんだが、自分としては一生懸命、日々の現場で仕事を行ってきただけで、私で良いのかなと戸惑っているのが正直なところ」と謙虚に受け止める。
高校卒業後18歳で建設業界に入り、それから41年間に渡り現場一筋。一言で現場と言っても多種多様で、同じ条件は存在しないため、臨機応変な対応が必要。「一度経験したことなら自信も持てるが、全く同じ状況ということは有り得ない」とこれまでを振り返り「たった一つのミスで取り返しのつかないことになりかねないので、常にこれで大丈夫だろうかと自問自答しながら、仕事に取り組んでいる」と苦労を打ち明ける。
思い出に残る現場としては、10年度福井県優良工事の優秀賞に輝いた『平成21年度かんがい排水事業(一般型・県営)春江北部2期地区第9号工事』を挙げる。排水の下をくぐり、パイプラインを通す工事で「大量の地下水を処理しながらの大変な工事だった。ただ施工中は辛いものだが、完成した時は喜びを感じるし、それはどの現場でも同じ」と話す。
ここ数年の単価の上昇で、品質の向上と利益率の確保がより大変になっていると実感する。「技術者として、当然より良い完成品を発注者に提供したい。今後ますます大変な状況になっていくと思うが、今回の栄誉で責任の重さを再確認できた。一層の品質向上に励みたい」と決意を新たにする。
仕事が一番で、休日の過ごし方については、疲れを癒すための休養に充てると話す。永平寺町東古市在住。59歳