九州で3県目 全市町で導入完了 恵まれた環境 積極的な活用を 建設新聞の調べによると、本年度から長与町が業務委託契約に対する前金払制度≠採用したことで、県内すべての市町が同制度を採用。県下全市町村で採用しているのは、九州管内では大分県、宮崎県に続き3県目。
同制度は、公共の土木建築に関する工事の設計、調査、測量のほか、機械類製造の業務委託の際に、発注者が委託料の30%を上限に受注者に前払いするもの。制度自体は以前からあるものの、全国的には工事の前金払制度の導入率がほぼ100%であるのに対し、業務委託は低いままだ。
この理由について、業務の受託事業者が債務不履行になった場合に、発注者が支払った前払金を保証する前払金保証を提供している西日本建設業保証鰍フ長崎支店によると「業務委託料は、工事代金に比べ少額になることと、材料や下請代金が工事に比べ多額に掛からないことから、資金需要が薄いと判断されていることが多いではないか」と推測している。
ただ業務委託は、少額なものの、多数の業務が同時期に発注されたり、年度を通じた業務が求められるなど納期が長期に渡る場合が少なくない。そのため工事と同様に資金需要は存在し、受託事業者にとって資金の調達は、工事の請負事業者と同様に大きな課題。円滑な業務の推進に向け、より一層、制度が普及することが望まれる。
業務委託の前金払制度が長崎県内の全市町で採用されたことは、同制度の採用率が非常に高いと言われる九州・沖縄エリア(全体で8・5割、福岡約7割、佐賀約8割、熊本約9割、鹿児島約7割、沖縄9・5割)の中でも、特に恵まれた環境だといえる。事業者も、この環境を積極的に活用してほしい。