徳島県は、本年度から2カ年かけて「県水道ビジョン」の策定に着手する。管路施設の耐震化など大規模な自然災害への早急な対応や水道事業者の経営基盤の強化が求められる中、国が水道事業の広域連携の道筋を示すなど、県としても安全・安心な水道を将来にわたって維持し、持続可能な供給体制を確保するため策定することにした。大規模災害を迎え撃つ、安全、強靱(きょうじん)で持続可能な水道事業の構築を目指す。
ビジョン策定に当たっては▽水道事業の現況と現状での課題の分析評価▽水道のあるべき姿と基本理念・基本目標などの策定▽広域連携の在り方の分析評価−などを行い、安全・安心な水道像を明確化する。広域化や災害対策に伴う水需要予測を明確にする他、水道事業者ごとの水道料金や財政収支の見通しを分析評価し、この評価結果に基づき、広域連携の在り方を示すことにしている。
所管は危機管理部安全衛生課。事業費は9月補正予算案で2018年度限度額980万円の債務負担行為補正(追加)を設定した上で420万円を計上している。予算承認後速やかに業務の委託先を決める手続きを進める。
県内における重要給水施設基幹管路の耐震化適合率は15年度末現在32%と低い水準にある。こうした中、南海トラフ巨大地震直後には断水率が92%(中央構造線・活断層地震直後75%)見込まれるなど、大規模自然災害への備えが求められている。耐震対策以外に老朽化対策も今後増加する一方、人口減少による料金収入減少の深刻化も予想され、水道事業者の経営基盤強化がますます重要な課題となりつつある。県はこうした実情を踏まえ、水道事業の統合の他、中長期展望に立った実効性の高いビジョンを策定することにしている。
提供:建通新聞社