全国建設産業団体連合会会長会議が27日、京都市東山区のウェスティン都ホテル京都で開催。担い手確保、生産性向上などの諸課題について意見交換した。
幹事県の京都府建設産業団体連合会を代表して岡野益巳会長が挨拶。岡野会長は京都縦貫自動車道や新名神高速道路など京都のインフラ整備に触れた後、「担い手確保、生産性向上は喫緊の課題」「休日確保などの労働環境の改善といった諸課題について活発な議論をお願いしたい」と呼びかけた。
渡邉勇雄一般社団法人全国建設産業団体連合会会長は「地域間格差、企業間格差が顕在化している」「安定した予算の確保はもちろん、公共事業費の減少している地域への傾斜配分、国土強靭化計画の具現化を強くお願いする」と訴え。「業種横断的な特性を生かし要望していきたい」と述べ、最後に幹事県の京都府建産連に謝辞を述べた。
来賓の青木由行国土交通省建設流通政策審議官は「ダンピング対策は一定前進し、社会保険の加入も進んできた。さらに前進させたい」と協力を求めた。「安定的で持続的な公共事業費の確保が重要。右肩上がりの状況が必須になる」「処遇を改善し労務単価を上げ、それが現場の技能労働者に届くようにしたい」と述べた。五道仁実国土交通省大臣官房技術審議官は「3次元データを測量から維持管理まで使い、現場を変えていくためには、地域の測量、設計、建設の皆様に技術を培っていただくことが重要。講習会開催やモデル工事を進め、取り組みやすい環境をつくっていきたい」「施工時期の平準化、現場における書類の簡素化、監督・検査の合理化などまだまだ生産性を上げるためにできることがある。改善すべきところは改善し、よりより産業にしたい」と述べ、活発な議論を呼びかけた。
29年度全国建産連会長表彰では、表彰受賞者を代表して山本行雄京都府建産連監事に渡邉全国建産連会長から表彰状が授与された。
議事は渡邉会長が議長となり進行。各府県建産連が提案した議題として、補正予算編成、公共事業予算の安定的確保及び中長期投資額の提示、建設産業政策会議の提言を踏まえた施策展開、建設産業の適正な利潤確保、労務単価の更なる引き上げと現行調査方式の見直し、施工時期の平準化と適切な工期の確保、建設産業における完全週休2日制の促進、法定福利費が末端業者まで行き渡る方策、若い技術者の育成・確保、東日本大震災復興事業における被災地特例施策の継続、日本家屋(和室)の魅力と伝統技法の伝承、工事発注における生コンの現場打設の安定的確保、交通誘導警備員の経費の積算について意見交換した。
国交省からは「30年度概算要求で前年度比1・16倍の要求を行っている。計画的な社会資本整備の推進、人材確保の観点から予算確保に努めたい」「適正な工期設定のためガイドラインを策定している」「4月に直接工事費を95%から97%に引き上げた」「平準化では地方公共団体にも要請している。市町村レベルでも広げることが課題」「週休2日制の導入を踏まえ、休日手当の状況など実態を把握するため調査項目に加えた」「法定福利費については市町村の状況を把握していないが、計上状況を調査している」などと回答した。
来賓の二之湯智参議院議員が駆けつけ、「建設業が若い人に魅力ある産業に」と訴えた。
小野昭京都府建産連副会長が30年度当初予算案の大幅な増額などを求める決議案を読み上げ、大きな拍手で賛同された。
小ア学京都府建産連副会長が閉会挨拶し、「誇りを持って働けるよう建設産業の進化を目指す」と決意を語った。
なお次回会議は福島県郡山市で30年9月11日に開催される予定。
懇親会までの時間を利用し、お抹茶と京菓子による京都らしいおもてなしも行われた。会場を移し開催した懇親会では祇園甲部の祝舞が披露。岡野会長の挨拶の後、来賓として駆けつけた山下晃正京都府副知事、門川大作京都市長、青木国交省建流審、佐藤信秋参議院議員、足立敏之参議院議員、田中英之衆議院議員、安藤裕衆議院議員、脇雅史全国建産連相談役が盛会に祝いの言葉を寄せた。
村田正治京都府議会議長の発声で乾杯。祝宴となり歓談の時を過ごした。
村井信夫京都府建産連副会長が「課題が山積しているが、官民が連携し明るい未来にしたい」などと中締めの挨拶を行った。
29年度全国建産連会長表彰の京都関係は次の通り(敬称略)。
▽金光鐘楽=一般社団法人全国中小建設業協会全中建京都相談役理事、元京都府建産連理事
▽田丸政則=一般社団法人京都府建設業協会理事
▽山本行雄=一般社団法人京都府空調衛生工業協会財務担当理事(前会長)、前一般社団法人日本空調衛生工事業協会理事、京都府建産連監事(前副会長)
▽益田修治=京都土木協会副会長
▽中島保=前一般社団法人京都電業協会理事
▽栩谷晴雄=一般社団法人京都電業協会監事
▽今江光宏=京都府塗装工業協同組合理事、一般社団法人日本塗装工業会京都府支部副支部長