三重県農林水産部は、予定価格の事後公表の試行工事を行うことを決め、10月1日以降に公告する工事の中から選定して実施する。事後公表については、県土整備部が先行して、2014年度から試行し4年目となっており、農林水産部も「適切な競争環境の確保」の取り組みの一つとして実施する。
目標件数は、17年度中に各農林・農政(水産)事務所(8事務所)で、対象案件があれば「1件程度」を試行することとした。対象案件は、土木一式工事で、予定価格は県土整備部と同額の「5000万円以上3億円未満」の総合評価方式の工事。試行に当たり、予定価格の積算については、県土整備部の試行と同様に事前に行わず、入札締め切り後に積算業務を行う方式で対応する。
県は、改正品確法の運用指針で示された「適切な競争環境の確保」に向けて、「予定価格の事後公表」を適切な見積もりを促すための手法として取り組むこととし、14年10月から県土整備部が試行を開始した。3月に公表した新三重県建設産業活性化プランにも「積算能力の向上の取り組み」のための施策として、「予定価格の事後公表に取り組む」として試行を継続することを盛り込んだ。これらの施策にオール県庁で取り組んでいくため、農林水産部も試行導入を図ることになった。18年度以降も試行を継続する方針で、県土整備部の取り組みに合わせて対応し、検証を行っていく考えだ。
先行する県土整備部では、16年度までに24件を試行した。14年度に5件、15年度に13件、16年度に6件を試行。15年度では、成立した11件の落札率が86・6〜89%、16年度は6件の落札率が90・4〜92・4%となった。落札率が上昇したことについて、低入札調査基準価格に近接した価格へ集中する傾向から、適切な利潤を確保できる価格での応札が顕著となったものとみている。
県全体の落札率は、12年度が87・4%、13年度が89・3%、14年度が89・3%と前年と同率で、15年度が87・7%、16年度が90・1%と上昇傾向にある。
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建通新聞社