名古屋市は、最大約300億円の事業費不足が見込まれる中志段味地区の土地区画整理事業について、整備水準のグレードダウンなどの再建策を検討する。全日本土地区画整理士会に委託して現在、事業の精査を進めており、可能な限り早期に方向性を示す。一方、ユニーが進出を断念したブロックでは、同社が開発事業の引き継ぎを進めており、9月には初弾として保留地1・3fを伊藤忠商事(東京都港区)に売却。既に名前が挙がっている小売り大手の米コストコをはじめ、有力な中核施設を誘致できるかが事業再建の鍵となりそうだ。
中志段味の区画整理事業は当初、190fにも及ぶエリアを対象に17年度までに総額425億円を投じる計画だった。しかし、区域内に急傾斜や亜炭鉱跡があり、工事費用が増大。さらに地価下落もあって財政難に陥った。現在は市からの補助金も停止され、工事を進められない状態だという。
市は現状を打開するため、6月に全庁的な調整会議を開催。国のガイドラインに基づき、組合経営の健全化策を検討することにした。このため、土地区画整理士会に委託して未施工区域の測量などを開始。事業を精査し、可能な限り早期に再建策の方向性をまとめ、組合に複数の選択肢を提示したい考えだ。代表的な健全化手法としては、施設整備の仕様をグレードダウンしたり、事業性に応じて施行地区を見直すことなどが考えられる。
提供:建通新聞社