長崎県 警備員ひっ迫時に自家警備認める 建協 『自家警備実施要領』を作成・会員企業に発送 県は、交通誘導警備員(警備員)不足により公共工事の円滑な施工に支障をきたしている状況に対応する。警備員がひっ迫している場合に限り、工事受注者の社員による警備(自家警備)を認める措置を試行。15日付で関係機関に通知した。
通知を踏まえ、受注者となる(一社)長崎県建設業協会では『自家警備実施要領』を作成し、21日に会員企業に発送した。県や関係業界団体らが連携・組織化して警備員不足に対応するのは全国で初めてだという。
県の共通仕様書では、県発注工事の交通誘導警備について、すべての路線で交通誘導警備検定合格者(1級または2級)の配置を求めている。ただし、検定合格者を配置できない場合、交通誘導の専門的な知識・技能を有し、交通誘導警備業務の実務経験が1年以上の者の配置を認めている。今回、この実務経験年数を、共通仕様書の資格要件から削除した。
その上で、受注工事の警備員を警備業協会(会社)に要請した結果、必要人数を配置できない状況(ひっ迫)だと証明≠ウれ、かつ監督職員と協議して認められた場合に自家警備を試行的に認める。15日以降に起工する工事から適用するが、施工中の工事でも、受注者が申し入れ、発注者と協議した上で適用することも可能だ。
自家警備を行う受注企業の社員は、過去3年以内に長崎県交通誘導警備員対策協議会が承認した団体が実施する安全講習会の受講が必要。
対象路線は、県公安委員会の認定路線(国道34、35、57、202、204、205、206、207、251、499号)以外のうち、交通量の状況や警備体系を踏まえて可能と判断したもの。例えば、警備員間の連携が不要な警備体系(非連携警備)は、自家警備が可能。車線規制など連携が伴う警備体系でも、交通量の影響が少なく、監督職員が問題ないと判断した場合は自家警備を認める。試行の中で取り組み状況を検証し、必要に応じて見直していく。
県と関係業界団体 対策協議会設置 これらの取り組みは、長崎県交通誘導警備員対策協議会での検討成果。同協議会は、県土木部と(一社)長崎県建設業協会、(一社)長崎県警備業協会、(一社)長崎県ほ装協会で構成し、顕在化する警備員不足への対応策を議論するため、ことし1月に設置した。
ここでの協議を踏まえ、県建設業協会が県警備業協会の協力を得て『交通誘導員安全講習会』を実施。ことし7月から8月にかけて県内6地区で、146社801人の建設業協会員が受講し、自家警備への準備を整えていた。