香川県は2017年の県内地価調査の概要を明らかにした。7月1日現在の県内8市9町の182地点を調査。地価の下落は県全用途平均で対前年平均変動率(平均変動率)0・8%減。下落率の縮小した前年(1・4%減)より、さらに下落幅が縮小した。地価の下落は住宅地・全用途平均で25年連続、商業地で26年連続で継続しているものの軽微となり、高松市を中心に上昇地点も増加するなど、下げ止まり傾向がより顕著となっている。
県内地価の平均変動率は住宅地が0・8%減(前年1・2%減)、商業地0・7%減(前年1・5%減)といずれも下落率が縮小。継続調査地点の182地点(前年182地点)のうち、22地点(前年9地点)で価格が上昇し、21地点(前年24地点)で価格変動なし、139地点(前年146地点)で下落。市町別平均変動率は、高松市(商業地)、直島町で横ばいとなった他は全市町で、住宅地・商業地・全用途平均のいずれも下落した。
県内の地価動向について、香川県地価調査香川分科会代表幹事で不動産鑑定士の岩井競平氏は、「住宅地は県全体として人口減少、高齢化率の上昇などによる需要減少により25年連続の下落。ただし、下落幅は年々縮小傾向にあり、県全体の平均値は年間マイナス0・8%と極めて小さな値となっており、下げ止まり傾向が顕著」と分析した。
岩井氏によると、県庁所在地、高松市の住宅地の地価動向は、49継続地点中、上昇16地点(前年9地点)、横ばい6地点(前年11地点)となり、下落傾向から横ばい、上昇傾向へと変化しつつあるとしている。
上昇地点は二つのエリア。一つは市街地中心部付近の生活利便性の高い地区と人気校区エリア(栗林・桜町校区など)。具体的には番町・昭和町・亀岡町・楠上町と上之町・今里町などを挙げる。
もう一つのエリアが郊外の新興住宅地域で、宅地開発が活発で地区内人口が増加し、価格水準が比較的低位で標準的なサラリーマン世帯が購入可能な価格帯に収まる地域。具体的には多肥上町・林町・上林町・太田下町・太田上町などとしている。横ばい地点は、これら2上昇地点エリアの周辺の住宅地域。高松市以外では宇多津町が1地点上昇している他、丸亀市・三木町・直島町の一部にも横ばい地点が見られるようになった。
一方、商業地は「中心商業地の空洞化と小規模小売店舗の閉鎖などが依然として認められ、有効需要の減退とともに地価は26年連続で下落。ただし、下落幅は年々縮小傾向にあり、県全体として年間マイナス0・7%と極めて小さな値」として、下げ止まり傾向がより顕著と分析。このうち高松市の地価動向は16継続地点中、上昇5地点(前年ゼロ)、横ばい6地点(前年7地点)。これまでの下落の傾向から、高松市中心商業地域と路線商業地域の一部で上昇傾向および横ばい傾向へと変化している。
岩井氏は「当該地域は賃料収入が比較的安定し長年の地価下落により結果的に投資環境が改善。特に最高価格地(中央通り)は外国人観光客の増加に伴うホテル需要を見こんだ動きや収益物件として着目する取引も顕在化。一方、依然として収益が見込めず、有効需要も低調な郊外の商業地域も認められ二極化傾向も認められる」とコメントしている。
商業地の平均価格を市町別に見ると、市では高松市が1平方b当たり10万7800円(前年10万6600円)で最も高く、次いで丸亀市が7万1100円(同7万1500円)、観音寺市6万3500円(同6万4000円)。町では宇多津町が5万1300円(前年5万2100円)で最も高く、琴平町5万0700円(同5万1400円)、土庄町4万8000円(同4万9200円)と続く。
価格上位の基準地で商業地1位は高松(県)5―11(高松市磨屋町2ノ6外)の「あなぶきセントラルビル」で、前年と変わらず。価格は1平方b当たり40万円。変動率は4・7。
提供:建通新聞社