東京都財務局は、低入札価格調査を実施していた「東京消防庁臨港消防署庁舎(29)新築電気設備工事」と「東京都西多摩保健所(29)改築電気設備工事」の2件について、いずれも最低価格での応札者が提出した調査票などに不足・不備があったとして「落札者としない」ことを決めた。入札契約制度改革の実施方針に基づき6月に開始した試行で、低入札価格調査の結果、最低価格での応札者を落札決定しなかったのは初めて。臨港消防署は他に3者が“有効札”だったものの調査基準価格を下回っており、調査票などを提出しなかったため「不調」とし、再入札する。西多摩保健所は2番札の応札者が、予定価格を下回り調査基準価格を上回る価格だったため、落札者とした。
新築する臨港消防署(中央区晴海5ノ13ノ13)の規模は鉄筋コンクリート造5階建て延べ5665平方b。予定価格(税抜き)を5億4197万円に設定した電気設備工事には6者が応札。このうち4者が調査基準価格(税抜き、4億8777万3000円)を下回り、2者が予定価格を上回った。
最低価格の応札者に対して実施した低入札価格調査では、調査票などに不足・不備があったため落札者としないことを決定。調査基準価格を下回った残る3者はいずれも調査票などを提出しなかったため、こちらも落札者としないことを決めた。
一方、移転新築する西多摩保健所(青梅市東青梅1ノ167ノ15)の規模は鉄筋コンクリート一部鉄骨鉄筋コンクリート造3階建て延べ3270平方b。予定価格を2億3587万円に設定した電気設備工事には5者が応札。1者が調査基準価格(2億1228万3000円)を下回り、3者が予定価格を下回り調査基準価格を上回る価格だった。
低入札価格調査を行った結果、こちらも調査票などに不足・不備があったため落札者としないことを決め、調査基準価格を上回り2番目に低い応札者を落札者とした。
「ひとくちメモ」
都が試行する入札契約制度改革では、大規模工事を扱う財務局契約案件で低入札価格調査制度の適用を拡大。予定価格が「建築4億4000万円以上」「土木3億5000万円以上」「設備2億5000万円以上」の工事は原則、低入札価格調査制度を適用する。競争環境を高めつつ、工事の品質を確保するため、これまでの特別重点調査基準を失格基準に改め、例えば過去の工事成績評定で65点未満があった場合は失格にする。書類の不備についても「一切認めず」失格とする。契約後は下請け事業者を含めた社会保険の加入状況などを確認し、未加入が判明した場合は指名停止などの措置を講じる。今回の応札者は「書類の不備」に当たるため、指名停止の対象とはしない。
提供:建通新聞社