京都市上下水道局は、南区の鳥羽水環境保全センターの下水汚泥焼却炉のうち、階段炉の1基を「固形燃料化炉」として更新する下水汚泥固形燃料化事業に着手する。
鳥羽水環境保全センターでは、4基の焼却炉(階段炉2基、流動炉2基)で汚泥を焼却している。このうち、階段炉の1基を固形燃料化炉(150t/日)に更新するもの。もう1基の階段炉は固形燃料化炉の運転開始後に停止する。
固形燃料化炉は低酸素状態等にした炉内で下水汚泥を蒸し焼きにし、汚泥に含まれる水分を蒸発させることで固形燃料を製造する施設。温室効果ガス発生量が他の焼却炉と比べ少なく、温室効果ガス発生量の削減ができ、焼却灰の発生量の削減にもつながり、最終処分場の延命化も図れるとしている。下水汚泥の有効利用率は現在の23・7%から、別事業で進める消化タンクの再整備により約30%に向上し、さらに今回の事業の実施で約50%に向上すると見込む。
下水汚泥固形燃料化事業の事業手法は、公設公営の従来方式(総事業費108億円)、民設民営のPFI(BTO)(同103億円)、公設民営のDBO(同100億円)を比較検討。固形燃料化炉の設計・建設から運転管理、固形燃料の販売に至るまでの業務を一括して民間事業者に委託するDBO方式が最も優れているとし、採用を決めた。
固形燃料化炉の建設費(設計費含む)は40億円(国庫補助金22億円、自己資金18億円)、固形燃料化炉の運転管理費は60億円(33年度〜52年度の20年間。自己資金60億円)の計100億円と見込み、既存焼却炉の撤去10億円(国庫補助金5億5000万円、自己資金4億5000円)を合わせ合計110億円(国庫補助金27億5000万円、自己資金82億5000万円)と試算した。
これを踏まえ9月補正予算案の公共下水道事業特別会計に下水汚泥固形燃料化事業の債務負担として110億円(期間は29年度〜52年度)を設定する。
また事業の実施にあたり、透明性と公平性を確保するため、PFI法及び京都市PFI導入基本指針に準じて進めることとし、学識経験者等で構成する「京都市上下水道局鳥羽水環境保全センター下水汚泥固形燃料化事業受託者選定委員会」を附属機関として設置するにあたり、関連条例の一部改正案を9月市会に提出する。
予算案等の可決後、29年11月以降に入札公告、実施方針、要求水準書等の公表を行い、30年4月の契約締結を目指す。
30〜32年度に施設の設計及び建設、既存施設の撤去を行い、33年度〜52年度に施設の維持管理及び運営を行う。