トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建設経済新聞社
2017/09/12

【京都】芸大及び銅駝美工移転プロポ 乾ら5社の設計共同体に決定

 京都市行財政局は11日、公募型プロポーザルで選定していたWTO対象の「京都市立芸術大学及び京都市立銅駝美術工芸高等学校移転整備工事設計業務委託ただし、建築及び設備基本設計・実施設計業務委託」について、乾−RING−フジワラボ−o+h−吉村設計共同体を受託候補者に決定したと発表した。
 今後、受託候補者と委託契約の締結(9月下旬)に向けた協議を行う。設計業務の完了は32年3月末。
 工事発注は工種及び工区ごとに分離発注を行う予定。32年度に施工者を選定した後、工事着手し、34年度まで工事を行い、35年度の供用開始を目指す。移転事業の概算事業費(設計・調査費、建設費)は約250億円を見込む。このうち、銅駝美工は概算事業費(建設費、設計費)約30億円を見込む。
 乾−RING−フジワラボ−o+h−吉村設計共同体は、代表者が乾久美子建築設計事務所、構成員がRING ARCHITECTS、フジワラテッペイアーキテクツラボ一級建築士事務所、一級建築士事務所大西麻貴+百田有希/o+h、吉村建築事務所の5社による設計共同体。
 主な提案内容は、▽ひとつのまちが生まれ成長するような大学をつくる(京都の活動や文化が通りを中心に発展してきたことを引き継ぎ、立体化した様々なスケールの道を大学活動の中心として位置付ける)▽「つくる」「つかう」「のこす」が融合したプロセス(より多くの使い手たちと、情報や知識を共有できる新たな対話の手法を構築する)▽地域の生活空間とともにある有機的なキャンパス(崇仁地区をはじめ京都のまちや高瀬川と一体となった計画を実現する)。
 整備イメージも公表した《高瀬川沿いに食堂や図書館が展開するイメージ》。
 選定理由によると「大学の基本コンセプトをよく理解し、それを『ひとつのまちが生まれ成長するように大学をつくる』『つくる−つかう−のこすが融合したプロセス』『地域の生活空間とともにある有機的なキャンパス』という3つのフレームによって具現化し、まちと共に成長し続けるキャンパスを提案している。具体的には、京都のみちと奥庭の性質をうまくキャンパス内に取り入れ、周辺のまちとのつながり、キャンパス内のつながりを生み出す仕掛けを考案している。特に高瀬川に沿って新機構軸、共通工房という2つの創造軸を配置し、鴨川まで連続する一体のランドスケープとして発展させた点などに大きな力量を感じる。また更新を容易にする二段階の構造の仕組み(マトリクスフロアとフレキシブルストラクチャー)を提案し、キャンパス空間をより良い空間へと進化させていく可能性を示している」「二次審査では斬新な空間の提案が精巧な模型によって明確に示され、そのポテンシャルの高さを理解できた。同時に設計者がキャンパス計画についての考えをしっかり持ち、その内容を的確に提案しながらも、状況に応じて柔軟に対応する対話能力を有していること、さらに管理技術者を中心とするチームワークの良さについても一歩抜き出ていることを確認した」と評価した。
 7月5日の第2回選定委(第1次審査)は、乾−RING−フジワラボ−o+h−吉村設計共同体、kwhg−Tato−安井設計共同体、C+A−平田晃久−スキーマ・ティーハウス設計共同体、槇総合計画事務所、宮本−宮本−ドット−デネフェス−オンデザイン設計共同体、山本−石本設計共同体の5者が通過。8月30日の第3回選定委(第2次審査)で評価点の合計が最上位(211・6点)だった乾−RING−フジワラボ−o+h−吉村設計共同体を受託候補者に選定した。第2位はC+A−平田晃久−スキーマ・ティーハウス設計共同体、第3位は山本−石本設計共同体。
 業務概要は@京都芸大及び銅駝美工移転整備工事に係る基本設計及び実施設計A元京都市立崇仁小学校解体工事に係る実施設計B元京都市立崇仁小学校体育館改修工事に係る基本設計及び実施設計。
 公告時の内容によると、対象建築物の概要として整備延べ面積は6万3630u。京都芸大が5万5680uで、内訳は美術学部合計が延2万8737u、音楽学部合計が延9962u(うち音楽ホール(講堂)2413u)、共通が1万6985u(共通教育スペース、日本伝統音楽研究センター、芸術資源研究センター、事務局、芸術資料館−附属図書館など)。銅駝美工は7950u。構造形式は未定。階数は地上最大7階建程度。
 上限委託料は6億5450万円(税抜)。技術提案書の提出者には報償費30万円を支払う。