名古屋市健康福祉局は、困窮者への救護や生活指導を担う保護施設「植田寮」について、老朽化に伴う今後の改築を見据えて同種の施設との関係を整理し、施設の効率化を検討する。市会の財政福祉委員会で今後の方向性を説明した。また、改築とは別途、運営形態を直営から見直すことも考えていく。
植田寮の所在地は名古屋市天白区植田山2ノ101。経済的に困窮し、障害を抱えている人の生活を援助する救護施設と、生活指導による自立更生を促す更生施設としての役割を兼ねた複合施設となっている。
既存の施設は管理棟や食堂など計19棟に分かれており、平屋や2階建ての建物がつながった形。構造は鉄筋コンクリート造で、床面積は全体で6074平方メートルとなっている。救護施設は定員108人で、居室棟3棟と食堂棟1棟、機能回復訓練棟1棟。更生施設は定員112人で、居室棟3棟と食堂棟1棟を備えている。
施設は建設から50年がたち老朽化。2015年度以降局内部での検討会を開き、施設の在り方を模索してきた。17年度には改築工事に向けた調査と、植田寮が今後に果たすべき役割の検討を行っている。
市会委員会で同局は、利用者ニーズの多様化への対応を打ち出した。このため、老朽化の解消やバリアフリー化など、生活環境の向上に向けた検討を進める。さらに、効率的な施設運営を目指し、同種施設との関係の整理にも取り組んでいく。
市内の同種施設として、救護施設では公営の厚生院(定員80人)、更生施設としては民営の笹島寮(60人)がある。
植田寮は福祉施設などが集中する植田山に位置しており、付近では市子供青少年局が、障害がある児童の入所施設「あけぼの学園」の改築を計画。18年度にも建築工事に着手する見通しだ。植田寮の改築に際しては、こうした周辺での開発も踏まえて施設配置を考えていく。
一方、施設運営については、指定管理者制度の導入を検討。現在の直営による運営体制を転換し、民間活力の活用を模索していく。運営手法の移行時期は19年度からとなる見遠しだ。
提供:建通新聞社