京都府は5日、京都府営水道ビジョンの中間案を明らかにした。
25年度から34年度までを計画期間とする現行の府営水道ビジョンを中間年の29年度に見直し、30年度から34年度までの後期計画としてまとめる。
現有施設能力の16万6000m3/日の維持を前提に、期間中の取組方策を推進する。今後は更にコスト削減とリスクマネジメントのバランスのとれた府営水道と受水市町トータルでの適正な施設規模を検討する。
施設の老朽化対策・耐震化では、宇治系管路の幹線・城陽線は老朽化が進んでおり、耐震性の低い継手や鋳鉄管を使用しているため、集中的に宇治系管路の更新(耐震性があるダクタイル鋳鉄管への更新)を行い、ビジョン期間の34年度までには実施完了する。
宇治系管路の完了に引き続き、液状化の可能性が高い上、耐震性が比較的低く経年管となる木津系管路に着手する。
電源喪失への対策では、乙訓浄水場に非常用自家発電設備を整備する。31年度完成見込み。また木津浄水場導水ポンプ所の非常用電源確保について検討を行う。
水質管理の強化では、水安全計画の運用により、常に信頼性の高い水道水の供給を目指す。最新の水処理技術・水質測定機器の導入等の検討を行う。
経営改善に向けた取り組みとして、建設改良計画に基づき、事業実施時期のピークを調整することで費用構成の中で最もウエイトを占める減価償却費の急激な増加を引き続き抑制する。
施設の更新等にあたっては最新技術にアンテナを張り、ライフサイクルコストを含め、複数案を比較の上で実施し事業費を削減する。
今後見込まれる建設改良費(29年度〜36年度まで)によると、施設(管路除く)の更新等に伴う投資は宇治浄水場が41億円、木津浄水場が29億円、乙訓浄水場が24億円、その他施設(各浄水場系負担)が2億円の計96億円、管路の更新・耐震化等に伴う経費が宇治系管路70億円、木津系管路13億円、乙訓系管路0の計83億円の合計179億円と機能向上に伴う経費+撤去費を見込む。
費用負担のあり方については、建設負担料金格差の縮小を目指す。具体的な料金水準のあり方は経営審議会での検討などを踏まえ定めていく。
受水市町との連携では、府営水道と受水市町の施設全体の適正な規模や配置について、専門部会を設置。業務の共同化、広域化の検討を進める。人材育成や技術継承のため、府営水道と各受水市町で構成の京都府営水道連絡協議会や、有識者・民間セクターの参画を得た水循環プラットフォームを活用し、職員を対象とした研修会等を実施する。
府営水道ビジョンの中間案は12月から30年1月の約1ヵ月の間、府民等から意見を募るパブリックコメントを行い、最終案をまとめ、30年2月頃に改訂ビジョンを公表する予定。