担い手の確保や育成など建設産業の課題解決を探るため、県建設部が準備を進めてきた「秋田県建設産業担い手確保育成センター」が1日に設置され、県庁で開所式が行われた。建設業界の担い手確保に特化したセンターの設置は全国初の取り組み。
建設政策課内に設置された同センターは、新卒者を確保できない、入職後3年以内に離職する、女性技術者が少ない、女性にとって働きにくいなど建設業界の課題を踏まえ、特に「若者」と「女性」をターゲットにした取り組みを推進する。
担い手の確保・育成に向けては産・学・官の連携が不可欠として、秋田県建設産業団体連合会等、秋田県建設業協会、高校、秋田職業能力開発促進センター、県立技術専門校等、県の関連部局や河川国道事務所等が関わり、インターンシップやマッチングの促進、公共工事の品質確保、生徒らの職業意識の向上などに取り組む。
センターの事務局はセンター長(1名)の建設政策課長、センター員(7名)の建設政策課や技術管理課の職員、担い手確保育成推進員の計8名で構成。センター関連事業の企画・調整や成果検証などを行う機関として「運営委員会」も設置され、1日の開所式後は第1回運営委も開かれた。
センター開所式には、堀井啓一副知事が出席して「今回の大雨災害で建設産業の必要性が再認識された。知恵を出し合い、これまでにない取り組みで成果が出せるよう頑張ってほしい」とあいさつ。秋田県建設産業団体連合会の鈴木隆事務局長、秋田職業能力開発促進センターの平野直樹訓練課長、県建設部の柴田公博部長の3人が看板の除幕を行い、「建設産業担い手確保育成センター」の文字が記された看板が姿を現した。
センターの業務開始にあたり、センター長の建設政策課・智田邦英課長が事務局を前に訓示を行い、「若い方々や女性の方々には建設産業で働くことの魅力を、業界に対しては若者や女性が何に不安を覚えているのかを、それぞれしっかりと伝える必要がある。積極的にアイディアを出して訪問やネットワークの構築を大切にし、業務を進めてほしい」と述べた。
1日に担い手確保育成推進員の女性活躍推進担当に着任した森山千恵子(もりやま・ちえこ)さんに辞令が交付された後、業務を開始。森山さんは2日に横手市で開かれた「よこて建設女子会」について平鹿建設業協会と電話で打ち合わせした。すでに先月から着任していた教育・訓練機関連携担当の内海求(うちみ・もとむ)さんは工業高校に電話をかけ、2級施工管理技士学科試験対策講座の受講者について、状況などを確認した。
設備会社(管工事業)に勤務した経験がある森山さんは、「建設業の魅力を特に女子高生にPRし、担い手不足の解消に努めたい。働いている方々の苦労を踏まえ、改善策を業界の方々とともに改善し、女性や若者の不安を解消したい」と抱負を述べた。
長く工業高校で教諭を勤めた内海さんは、高校生に「2級施工管理技士学科試験対策講座」の受講を案内しているなかで、「受講希望者でも、県内建設業に就職を志望する生徒は少なく、県外の大手ゼネコンに流れていると感じている」と話し、「私が業界と学校のパイプ役となり、秋田の優秀な人材が流出しないよう頑張りたい」と話した。
センター開所式の後、柴田公博部長も取材に応じ、「業界の環境を変えることが大きな課題のひとつで、今回立ち上げたセンターで産・学・官が連携して解決策を探る。業界の気になる点や提案はなんでも、まずはセンターに『気軽に』連絡してほしい」と話した。
センターの電話番号は018−860−2910(ハローにないて)、月曜から金曜までの午前8時30分から夕方17時15分まで。
提供:秋田建設工業新聞社