水資源機構は8月29日、国土交通省の2018年度予算に係るダム事業の新規採択時評価を受けて、早明浦ダム再生事業を18年度予算の概算要求に盛り込んだ。同機構初のダム再生事業。18年度事業採択、28年度完了の予定。
早明浦ダムは高知県本山町(左岸)と土佐町(右岸)に位置する、ダム高106b、堤頂長400bの重力式コンクリートダム。
再生事業では容量振り替え(現状の利水安全度を確保しつつ、不特定補給の運用見直しにより容量を確保)と、予備放流方式(※洪水予測の時点で、あらかじめ放流を行い貯水位を下げ、洪水調節容量を洪水調節計画で確保すること)を導入。現況の洪水調節容量を9000万立方bから1億0700万立方bに増大する。このため、洪水時の放流能力増強のため、放流設備の増設などを行い、治水機能の向上を図る。
総事業費は約400億円(建設費272億円、維持管理費3・5億円)を見込む。新規採択時評価結果によると、再生事業の効果として、戦後最大の洪水と言われる04年(平成16年)10月台風23号洪水と同規模の洪水である05年(平成17年)9月台風14号の洪水が発生した場合、吉野川全体で浸水世帯数約5000世帯、浸水面積約2000fの被害が想定され、事業実施により浸水世帯数約2500世帯、浸水面積約1080fの軽減効果が期待できるとしている。
提供:建通新聞社