東北農政局旭川農業水利事業所は、推進する旭川地区国営かんがい排水事業で、改修するあいののダムや大戸川頭首工について、平成31年度頃の着工を見込んでいる。あいののダムでは堤体の高さを変更せずに、盛土等で幅を広げるなど改修や耐震化を行う予定で、工期は3から4カ年を見込んでいる。大戸川頭首工は、現在地での改修が困難なため上流側約100m地点に移設を計画しており、河川協議や用地買収を経て3カ年の工期で進める見通し。
旭川地区は横手市、大仙市、美郷町にまたがる3,159haの農業地帯。事業では、あいののダムや頭首工、用水路の改修、施設の耐震化対策、取水施設の統廃合などを行う。事業期間は平成36年度までで、総事業費は150億円(平成26年度単価)。
あいののダム(均一型フィルダム、堤長132.9m、堤高40.8m、堤体積293,000㎥、竪孔型洪水吐、独立型取水塔式取水施設)では改修や耐震化を行うほか、既存工事用道路(L約2,000m)の幅員が狭いため、拡幅なども検討している。今年度は実施設計(NTCコンサルタンツ)を委託しているほか、工事用道路測量を8月29日に開札、取水塔ゲート設備調査設計と取水塔調査設計も6日に開札する。
なお、取水塔ゲートは10年ほど前に補修していたが、委託する調査結果で耐震性が不足していた場合、取り換える方針。
大戸川頭首工(堤長29.4m、堤高1.4m、フローティングタイプ全可動堰)では移設を計画しており、実施設計(サンスイコンサルタント)や用地測量その1業務(大江設計)をまとめている。28日にはゲート設備設計を開札する。
このほか、新上堰頭首工(堤長53m、堤高2.2m、フローティングタイプ全可動堰)と新一の堰頭首工(堤長63.8m、堤高2.3m、フィックスドタイプ半可動堰)で改修や耐震化対策を計画している。
用水路等では、延長9,800mの旭川左岸幹線用水路(落差工6カ所、サイホン2カ所、水路橋2カ所)や3,300mの旭川右岸幹線用水路(落差工3カ所)、2,800mの三の堰用水路(落差工4カ所)を改修するほか、800mの大戸川注水路を新設する。また、水管理施設(中央管理所〔親局〕、子局、孫局)の統廃合も計画している。
現在は、旭川左岸幹線用水路の整備を推進しており、全線で補修や改修が必要になる見通し。委託しているトンネルその他調査測量設計(ジルコ)で詳細を把握する。28年度はその1工事として延長80mの補修を発注しており、今年度はその2工事として水路工(L278.93m:補修L263.43m、改築L15.5m、落差工1カ所)を6日に開札する。
来年度は、旭川左岸幹線用水路の改修を本格化させるほか、同用水路の一部や三の堰用水路の実施設計をそれぞれ委託する。コンサル業務については、31年度までにすべての業務を完了させたい考えで、予算が確保できれば旭川右岸幹線や大戸川注水路、新一の堰頭首工、新上堰頭首工の業務(実施設計、地質調査、測量)も委託する見通し。
提供:秋田建設工業新聞社