北海道建設新聞社
2017/08/30
【北海道】道開発予算概算要求は事業費で19%増7796億円−農業や空港に重点
国土交通省北海道局は29日、2018年度北海道開発予算の概算要求を公表した。一般公共事業費に当たる開発事業費は国費で前年度当初比18.8%増の6372億円、事業費で19.1%増の7796億円を要求。戦略的産業と位置付ける食と観光を支えるための農業農村や空港整備などに予算を重点化。優先課題推進枠には1277億円を計上し、道路整備や治水、農林水産基盤整備、自治体の交付金事業などに上積みした。
要求に当たって同局は「食料供給基地としての持続的発展」「『観光先進国』実現をリードする世界水準の観光地の形成」「強靱な国土づくりと安全・安心な社会基盤の形成」の3項目を重点事項に設定した。
事業別に見ると、道路は、道路整備と道路環境整備合わせて16.9%の増額要求。都市機能や生活機能へのアクセス向上、災害時の代替ルート確保などに向け、高規格幹線道路などの整備を推進。18年度の開通を目指す釧路外環状道路の釧路東―釧路別保間(7`)や、整備のストック効果によりインバウンド増加が期待される国道5号倶知安余市道路(39・1`)の進捗(しんちょく)を図る。
治水は、石狩川、十勝川、天塩川などで激甚化・多様化する災害に備えるため河川改修を推進。石狩川流域では19年度の完成を目指して千歳川遊水地群の工事進展を図るほか、直轄ダムは幾春別川総合開発、沙流川総合開発、サンルダムの整備推進と新規の雨竜川ダム再生事業を合わせて前年度当初比2.5%増の195億円余りを要求した。
農業農村整備は、食料供給力の確保と競争力強化の観点から予算を重点化し、要求額が2割以上伸びた。農地の大区画化や暗渠などの農地整備を実施。
港湾は国際バルク戦略港湾に指定されている釧路港をはじめ、苫小牧港や石狩湾新港、釧路港で物流機能強化や防災対策、老朽化対策の事業を盛り込んだ。優先課題推進枠では函館港、小樽港のクルーズ船受け入れ環境整備を中心に15億円を要求。水産基盤整備は水産物の輸出促進に向けて各地の漁港で屋根付き岸壁を整備する。
前年度以上に大幅な増額要求となった空港は、新千歳空港で16年度から着手した国際線の誘導路新設とエプロン拡張の工事を推進する。
アイヌ施策は、政府が白老町に20年度の供用を目指す民族共生象徴空間の整備で、国立民族共生公園の造成を進めるほか、体験交流施設に着工する計画。これらは開発局が所管する国営公園に含まれていて、このうち民族共生象徴空間整備には5・4倍の27億円余りを要求した。
また、建設現場や除雪現場ではi―Constructionを推進し、生産性の向上と建設産業の担い手確保を図る。