富山県コンクリート診断士会(安川榮志会長 正会員66人、賛助会員10社)の設立10周年記念式典が25日、富山市のホテルグランテラス富山で開かれた。正会員と賛助会員、来賓ら43人が出席し、節目を盛大に祝った。
冒頭、安川会長が「当会の発足は07年9月8日。前年度に福井、石川県で診断士会が設立し、富山にも作りたいとの話しがあった。私も必要性を実感していた時で当時、生コン工業組合の技術委員長を務めていたことから、会長を引き受けた。発足時は正会員約40人、賛助会員7社だった」と振り返った上で、「診断士の仕事はコンクリート構造物の町医者的な要素があり、発注者とゼネコンの橋渡しもする。一方、富山県の生コン業界の最大の問題は、骨材の採取が厳しくなっていること。当会としてアクションを起こすべき状況。今後も会員数が増えるよう親睦、情報交換などの活動を活発にしたい」とあいさつ。
来賓から日本コンクリート診断士会(JCD)の林静雄会長が、診断士制度やJCDの発足経緯を説明し、「全国に診断士会ができ、信頼性も高まってきた。JCDは2010年に14地区700人で設立し、現在は20地区(30都道府県)1600人の会員を抱えている。皆さんの努力のおかげであり、今後も診断士の認知度や信頼度、地位の向上に努めていきたい」、石川県コンクリート診断士会の古川博人会長は、「北陸3県の診断士会が抱える問題は共通している。解決に向け今後も連携を深めていきたい」と祝辞を述べた。
その後、10年の歩みを紹介。富山県診断士会の細野恭成幹事と安川会長が技術セミナーや現場見学会など、これまでの活動状況を写真、コメントを交えて振り返った。
ASR対策、フライアッシュ使用/富山のコンクリートで座談会
会員への事前アンケート調査を基に設定したテーマに沿い、座談会「富山のコンクリートについて語る」も開いた。
富山県診断士会の森直生副会長を座長に、金沢大学の鳥居和之教授、富山県立大学の伊藤始教授、JCDの林会長、石川県の古川会長、富山県の安川会長が登壇。会場の出席者とともに活発に意見を交わした。
この中で、アルカリシリカ反応(ASR)の劣化診断の方向性を議論。鳥居教授は「建物、橋梁も診断の際は、まずは基礎をしっかり見てほしい」と助言し、「情報をオープンにし、どうやって維持管理していくかをしっかり議論すべき」と指摘した。
さらに、ASR抑制対策に関しても討論し、「フライアッシュ含有コンクリートを使うべき」との方針を確認。JCDに加盟したメリットについても話し合い、石川県の古川会長は、「JCDへの加盟により、いろんな情報が入り、人との交流が増える」、JCDの林会長は、「連帯感、全国的な流れを知らせるために体制を整えた。JCDが講師を斡旋することもできる。声を掛けてほしい」と強調した。
最後に森副会長は、「いろんな方の意見を聞くことができ、満足している。JCDへの参加で、各県の情報を得ることができる。皆さんのご協力があって今がある。感謝を申し上げたい」と語った。
技術の研さんを/懇親会で鳥居教授
一方、引き続き行った懇親会では、鳥居教授が祝辞を述べ、「富山の地は、ASRなどコンクリートの劣化現象が目の前にある。技術を研さんすることで診断士だけでなく、技術士や建築士など、他の資格にも結びついていく。ぜひ頑張ってほしい」と激励。福井県コンクリート診断士会の山川博樹副会長の発声で乾杯し、参加者は和やかな雰囲気の中で歓談した。
閉会のあいさつで森副会長は、「今後、他県との交流だけではなく、富山から全国へ情報を発信したい。官公庁とのタイアップや人材の育成、診断士会の地位向上も図っていきたい」と締めくくり、10周年を機にさらなる飛躍を誓った。