東京都の小池百合子知事は8月28日、中央卸売市場会計補正予算を審議する2017年第2回都議会臨時会の開会に当たって所信を表明し、豊洲市場移転後の築地再開発について「5年以内のできるだけ早い着工を目指す」との考えを打ち出した。また、豊洲市場の追加対策工事を18年6月上旬、環状第2号線の地上部道路整備を19年度末までにそれぞれ完了させる意向も示した。
小池知事は、就任後の豊洲移転延期表明から今年6月の基本方針策定までの経緯を説明した上で、「豊洲市場への早期移転」「オリンピック・パラリンピックに向けた準備の推進」「築地再開発」の3点を具体的な取り組みとして提示。
豊洲移転については「豊洲市場は中央卸売市場として継続的に運営する」との方針の下、「湾岸地域の物流センターとしてもさらなる発展を目指す」と述べた。最も大きな課題と位置付ける安全・安心対策では、地下ピットの追加対策工事と地下水管理システムの機能強化を実施し、土壌汚染対策の丁寧な説明や大気・地下水の水質測定結果の正確な情報発信などを通じて風評被害の払拭(ふっしょく)に取り組む。
市場開設に関する農林水産大臣への認可手続きも進めながら、追加対策工事を18年6月上旬に完了させ、市場業者と調整しながら移転時期を決める。
20年大会に向けた準備では、「19年度末をめどに環状第2号線の地上部道路の整備を完了させる」とともに、「(築地市場解体後の)輸送拠点の整備も着実に進める」ことで、円滑な大会運営につなげる方針を示した。
築地の再開発は「経済合理性を確保しながら、民間主導で再開発する方向」で検討を進めることとし、その第1歩として「築地再開発検討会議を設置し、まちづくりの観点から築地のロケーションを最大限に生かした夢のある姿を描いていきたい」と述べた。具体的なスケジュールについては、まちづくり方針の策定、基本・実施設計、都市計画手続き、土壌・埋蔵文化財調査、環境影響評価手続きなどのステップを踏みながら「5年以内のできるだけ早い着工を目指す」との考えを打ち出した。
提供:建通新聞社