福島建設工業新聞社
2017/08/24
【福島】地域を守る建設業存続へ/県建設業協会と県土木部が意見交換
県建設業協会と県土木部の意見交換会は23日、福島市の県建設センターで開いた。@復興・創生期間の取り組みAふくしま建設業振興プランの実現に向けた取り組みB建設業における働き方改革│の3つのテーマで議論。協会は、地域社会に貢献する建設企業が地域に存在し続けていくため、入札制度面の検討を求めたほか、復興需要による公共投資の一時的な増加で体力が回復した今が再編の機会だとして、合併後のインセンティブ付与など行政の支援を訴えた。
意見交換会には県から大河原聡部長、室井良文技監、各次長、関係各課室長ら、協会側は小野会長と佐久間源一郎、佐藤彰宏、長谷川浩一、菅野日出喜各副会長、各方部の理事らが出席した。
協会側が求めたのは、安全安心の守り手である地域建設業が、地域に存在し続けていくことができる発注方策。災害対応などで地域建設業の役割に目が向けられるようになり、振興プランに「地域の実情に応じた発注」として「建設業を危機管理産業として捉えて、地域の建設企業が地元に密着した工事を受注できる方策を検討する必要」が書き込まれたことで、「一定の業者が地域で生き残ることができる仕組みが必要。地域社会に貢献する建設企業存続のため、行き着くところは入札制度だ」として、振興プランの理念を具体化させる制度の構築を求めた。
振興プランの施策具体化に向けて、復旧・復興連絡協議会のような枠組みによる意見交換の場の設置も提案された。
ICT活用や働き方改革は、時代の趨勢として取り組みの必要性に理解を示す一方、課題も挙がった。
会社単位で今年度から率先して週休2日制を取り入れた協会員会社は、新卒の確保に成果を上げた一方、休日の増加による収入減を補うため、日給月給だった社員を月給へ移行させたことで、経費面での検証はこれからといい、完全実施には工期の順守や協力会社との兼ね合いがハードルになるとの見方を示した。
働き方改革については「これからの企業経営の根幹にかかわる重要課題だ」との認識で一致したが、それには適正な工期設定、施工の平準化、適正な賃金・歩掛りに加え、現場の不要時間の削減、監督職員の現場対応の向上などの環境整備が不可欠だと理解を求めた。
担い手確保では、入職意欲を喚起する必要性とともに、学生・生徒の基礎学力の低下で5年後10年後の現場を任せられる技術者を育てることができるか危ぶむ声も上がった。
ICTは、ドローンによる現場の確認など有効性を認識する一方、工事規模に対して導入コストやICTに対応できる技術者の育成が懸念材料となり、デメリットも含めて検証を深めた上で、情報化施工など段階を踏んで進めていくべきだとの意見が寄せられた。