日本工業経済新聞社(茨城)
2017/08/22
【茨城】水戸市が第三最終処分場の一般競争入札公告へ
水戸市は、下入野町地内に新清掃工場などとともに整備する第三最終処分場について、10月ごろに埋立施設と浸出水処理施設(性能発注)の一般競争入札を公告したい考え。このほど実施設計をまとめ、市議会特別委員会に報告した。概算事業費は埋立施設が約47億円、浸出水処理施設が約16億円。順調ならば12月議会へ工事契約の議案を上程する。2019年度末までに工事を終わらせ、20年4月の供用開始を目指す。
第三最終処分場は下入野町字南散野地内に新清掃工場とともに整備する。配置は新清掃工場の東側(A約3万u)。事業方式は公設公営。実施設計は潟Gイト日本技術開発水戸事務所(水戸市)。
埋立施設は建築費約45億円、設備費などに約2億円を想定。埋立容量は当初計画の約12万8000立方mを見直し、約7万4000立方mとする。平面形状は約160m×約78m。埋立深さは約7m。埋立面積は約1万2000u。埋立期間は15年間。埋立対象物は飛灰処理物および不燃破砕残渣。施設形態は被覆型最終処分場。造成された地盤を掘り込み、コンクリート擁壁による貯留構造物を築造する。被覆設備(S造)の高さは約12m。
遮水設備は壁面部が遮光性保護マット(t4mm)、遮水シート(t1・5mm)、壁面コンクリート(t450〜1240mm)。底面部は、上層保護マット(t10mm)、上層遮水シート(t1・5mm)、漏水検知システム、中間保護マット(t10mm)、自己修復材、下層遮水シート(t1・5mm)、下層保護マット(t10mm)、底盤コンクリート(t500mm)。
基礎は貯留構造物の底面部から支持基盤まで地盤改良を行う。改良深さは約3〜12m。浸出水処理施設は埋立施設の南側に配置。能力は約20立方m/日。調整槽容量は200立方m以上。処理水は最終処分場内の散水用水として循環利用する(クローズドシステム)。処理方式はカルシウム除去、生物処理、物理化学処理、高度処理、脱塩処理など。
市が処理能力やプラント設備の性能条件、公害防止条件などを記載した発注仕様書を作成した上で工事を発注し、受注者がこれに基づいて図面などの作成や工事を行う。
電力は新清掃工場で発電する電力(定格出力9550kW)を利用。敷地内4カ所に地下水観測井戸を設置し、水質監視を行う。
建物の景観は周辺環境になじむアイボリーを基調とする。周囲には可能な範囲で複数の樹種の高木を配置する。
埋立完了後は躯体を除去せず利活用する。利用方法としてテニスコートなどを見込んでいるようだ。次の最終処分場の場所は、新清掃工場西側に整備する予定の自由広場となる。
実施設計がまとまったため、市では今後、工事の発注準備を進めていく。11月中の仮契約、12月議会での議案提出を目指しており、一般競争入札の公告は10月ごろを見込む。
工事発注は埋立施設と浸出水処理施設に分ける。埋立施設は金額的に5者程度のJV編成となりそう。大手ゼネコンを中心に、市内本店業者と結成する形態。電気設備、機械設備、外構は分離する。
浸出水処理施設も規定では5者程度のJV編成となるが、こちらは流動的。大手プラントメーカーを中心に、市内に本店を置く1〜2者程度が組む形になる可能性もありそうだ。
本年度当初予算には3カ年継続費64億円を設定。内訳は17年度5億2560万円、18年度24億3670万円、19年度34億3770万円。