2020年の東京オリンピック景気や北陸新幹線敦賀延伸に伴う地方での人手不足解消を見据え、塗装会社それぞれが持つ高度な技術の共有を図ろうと、県内にある塗装会社の若手後継者ら15人が賛助会員(塗料メーカーら9社)の支援を受けて福井塗装工業会青年部会「福彩会(ふくさいかい)」を発足した。福井のまちに彩りを与えることと、わかりやすいネーミングで広く周知させるために命名した。
このほど、福井市内で開かれた設立総会に発起人6人の代表として初代会長に選出。「技術や経営等で得意分野を持ち寄り、お互いが切磋琢磨して塗装業界全体の発展とイメージアップを図りたい」と抱負を述べる。会員は県内に本店や支店、営業所を置く塗装会社の後継者(平均年齢は30代半ば)で構成され、日本塗装工業会福井県支部外の参加も呼び掛けるという。
高度経済成長期に造られた建物やインフラのメンテナンスなど、塗装業界に求められるニーズは年々高まっているものの、少子高齢化による人口減少や地方の衰退が県内でも現実的な問題として顕在化している。東京オリンピック景気に伴う熟練技能者の県外流出も懸念されるが、「新技術や新工法を導入する経験豊富な塗装業者と協力しながら、北陸新幹線など県内の工事現場でも仕事を受注できる方策を考えたい」と県内塗装業者の雇用創出と業界のさらなる発展に知恵を絞る。
今年度の事業計画には会員及び会員企業の技術向上を目的とする各種研修会や講習会等の開催を掲げる。「塗料は常に新しい商品が出てくる。全てを自社だけで取り扱うことは効果の検証期間も考えると難しい」などの理由から、秋ごろに賛助会員を交え研修会を開催予定。また、他団体青年部等及び他府県塗装業界団体との勉強会も視野入れており、「専門業者でも意外と知らない塗料の配合率や乾燥後の時間管理に加え、新製品や若手職人の育成などについて情報交換できたら」と最近増加する塗料の認識不足による不良施工撲滅に力を注ぐ。
喫緊の課題に掲げる担い手育成に関しては「建設業の中で新たに『塗装』という仕事に関心を持ってもらうため、例えば子ども達が通学する学校の校舎一部にペンキを塗る作業などに我々も参加し、塗装の楽しさをアピールすることで業界全体の活性化につなげたい」と強い決意をのぞかせた。さらに、「塗装の仕事は仕上げ作業が極めて重要になる。美しくきめ細かなセンスは発注者からも好印象を受けられやすい」と建設業界で最近増加傾向にある女性技術者育成に意欲を示す。
おかもと・やいち
敦賀市出身。41歳。2年後に創業70周年を迎える岡本ペンキ店(敦賀市)の専務取締役。県の「子育てモデル企業」に認定され、自身も「休日は3人の子育てに追われる毎日」と笑う。