県港湾空港課は、大型クルーズ船が寄港する際の受け入れ環境整備を中島埠頭で行うため、来月中に工事を公告する方針で準備を進めている。10月にも工事契約し、同月中に着工する予定。設計委託時における概算工事費は4億4,629万6,000円で、ターミナル施設や屋根付き歩行者用通路、トイレなどを年度末までに整備する。建築一式A級の単体企業に発注する予定で、件数は現在検討している。
秋田港では近年、新日本海フェリーのターミナル北側にある中島埠頭にダイヤモンド・プリンセスや飛鳥Uなどのクルーズ船が寄港する機会が増えている。今年度は内航船、外航船合わせて4月から10月下旬までに18回の寄港を予定しており、平成27年度の14回、昨年度の10回に比べても増加している。
しかし、中島埠頭には乗船客向けの常設施設が港内に無く、仮設テントでの総合受け付けや観光案内、物販などを行っているため、県は新たに施設を整備し、秋田港におけるクルーズ船の受け入れ環境を充実させる。
対象敷地は6,765u。予算計上段階での計画によると、ターミナル施設(S造屋根膜構造約660u)や屋根付き歩行者用通路(同990u)を整備するほか、ターミナル施設にはトイレ(RC造50u)も合築させる。
このほか、既存中島倉庫(S造998u)の外壁改修や照明施設(デザイン照明10基程度)の整備、建物周辺の外構も計画されていたが、発注の有無も含めて時期などは流動的。なお、設計は三井共同建設コンサルタントで詰めており、建物の面積などは最終的に変わる可能性がある。
県は現在、「あんべいいな 秋田港」と題した長期構想をまとめており、20年から30年後を見据えた秋田港の将来像として来年度に改定する次期港湾計画に反映させる予定。
構想では、中島埠頭ターミナルとポートタワー・セリオンの再編案が盛り込まれており、セリオンと中島埠頭の間にある水域を埋め立ててつなぐほか、セリオン物販施設の拡張やオープンカフェの設置、イベント広場・遊具等の整備などを行ってクルーズ船寄港時などの賑わい創出を図る方針だ。
ポートタワー・セリオン前では現在、大型クルーズ船などが係留できるターミナルを検討するため、日本港湾コンサルタントで基礎調査を進めている。
基礎調査では岸壁や物揚場を増深する岸壁改良や臨港道路の移設、緑地化(駐車場・植栽)などを検討。このうち岸壁改良では、セリオン前にある下浜−4m物揚場や南埠頭D岸壁(−5.5m)を対象に調査し、−9m岸壁に改良する方法を検討する。
県はさらに、現在クルーズ船が寄港している中島埠頭2・3号岸壁で、22万tの大型船を受け入れることができるかの可能性を検証するため、アスコ大東に業務を委託し進めている。
本県に寄港している船ではダイヤモンド・プリンセス(11万5,875t)が最大で、今回見据えているのは22万tの「オアシス・オブ・ザ・シーズ」の係留。業務では係船柱補強策の検討や、既設防舷材の配置・性能を踏まえた接岸速度の算出、岸壁本体の安定性照査などを行う。
提供:秋田建設工業新聞社