建通新聞社
2017/08/17
【大阪】設計変更実施率 最下位は大阪唯一50%台
近畿2府5県の府県・政令市における設計変更の実施工事率は平均72・9%で、全国平均の76・2%より3・3ポイント低いことが分かった。府県別に見ると、兵庫、京都、和歌山、滋賀、福井の5府県がいずれも75%以上の実施工事率となったのに対して、大阪は最も低い59・9%。唯一の50%台で全体の平均を引き下げた形だ。ただ、府県・政令市を除く市町村の実施工事率はさらに悪く、50%以下が全体の3割(73市町村)を占めた。8月9日の近畿ブロック発注者協議会の第10回会合で明かした。
設計変更の実施工事率は、当該年度に完了した工事(契約金額500万円以上)のうち、設計変更を行った工事(清算変更含む)の割合で、設計変更が行われていない工事が多いほど低くなる。このため、国土交通省は実施工事率を適切な設計変更実現に向けた一つの指標として設定。これを上げることで、適切な請負代金や工期の適切な変更につなげる方針。
2016年度の設計変更の実施工事率を府県別に見ると、大阪府が59・4%(完了工事数1426件/設計変更数854件)、奈良県が67・1%(940件/631件)、和歌山県が75%(1394件/1046件)、滋賀県が76・6%(808件/619件)、京都府が78・6%(1332件/1047件)、兵庫県が82・4%(1831件/1509件)、福井県が82・5%(1373件/1133件)―の内訳。
また、設計変更の実施工事率が50%未満の市町村の割合を府県別に見ると、大阪府下は6割近くを占め、最多となった。対して、京都府は最も少なく、実施工事率50%未満の市町村は全体の0・5%に満たなかった。
近畿ブロック発注者協議会、国土交通省と近畿の府県・政令市、高速道路会社、URなどの発注者で構成する。今回の会合では、設計変更の実施工事率について当面、▽50%未満の市町村を対象に改善を図る▽市町村で2割程度にとどまっている設計変更ガイドラインの策定・活用状況を改善する―の二つの目標を掲げた。
目標達成に向けては、各府県の地域発注者協議会の場において、市町村への指導を徹底していくことを申し合わせた。
会合ではこの他、施工時期などの平準化、適切な予定価格、ダンピング対策、入札契約方式の選択(実情に応じた総合評価落札方式の適用)について、府県・政令市、市町村の実施状況を紹介した上で、各目標案を提示。これらの取り組みを通して公共工事の品質確保、建設業界の担い手の育成・確保につなげていくことを改めて確認し合った。