島原・天草・長島架橋構想の推進は、鹿児島、熊本、長崎の関係3県が共同で実施している。2017年度も本県が調査を担当。橋梁設計に必要な基礎データ蓄積に向け、風(八千代エンジニヤリング)と地震(川崎地質)の観測を継続する。さらに機運醸成に向けた取り組みや県開発促進協議会等が国土交通省に対し調査再開の要望活動も推進する方針だ。
架橋区間は、長崎県島原半島から熊本県天草(早崎瀬戸)間の約4500m(島原〜天草架橋)と熊本県天草から鹿児島県長島(長島海峡)間の約2000m(天草〜長島架橋)で二つの長大橋の検討が進められている。
これまでの経緯をみると、1994年12月に地域高規格道路の候補路線に指定され、構想実現に向け国が96年度から、環境基礎調査や経済調査等を実施。2008年度以降は行われていないが、16年3月に閣議決定された国土形成計画(全国計画)では、「湾口部、海峡部等を連絡するプロジェクトについては長期的視点から取り組む」と記述された。
また、国土交通大臣が決定した九州圏広域地方計画では、「長崎、熊本、鹿児島の3県にまたがる九州西岸地域における多様なネットワークの形成による交流・連携機能の強化を図る」と示されている。
北薩方面では、国が南九州西回り自動車道、県は北薩横断道路の整備を進めており、道路ネットワークの強化による時間短縮効果や地域活性化のほか、災害時のリダンダンシー(多重性の役割)の役割に3県架橋は欠かせない道路として期待が寄せられる。島原・天草・長島架橋建設促進協議会等では、機運醸成のため地方大会も開催している。