千代田区は、四番町にある公共施設の再整備で、庁内での議論を踏まえた整備方針とスケジュールを、8月下旬に予定している区議会特別委員会に諮る。隣接する二つの敷地にそれぞれ1棟ずつ立っている建物を一括して再整備・集約することで、工期の短縮や建設・維持管理コストの削減につながる点を説明する考えだ。
再整備を計画しているのは、保育園▽児童館▽区営住宅▽集会室―などで構成する「A棟」と、区営アパート▽図書館▽職員住宅▽防災備蓄倉庫―からなる「B棟」。
A棟の現況は1980年建築の鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階地上7階建て延べ2089平方b。旧耐震基準(Is値0・6以上)の建物だ。一方、86年完成のB棟は鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階地上9階建て延べ6776平方bの新耐震基準の施設。隣り合う二つの敷地にそれぞれ建物があるが、ともに築30年以上で老朽化が進んだため、建て替えることにした。
当初区は、1棟ずつ順番に解体・新築を行うスケジュールを組み、17〜22年度で工事を進める計画を立案した。しかし、工事期間の長期化(6年間)や敷地の有効活用ができず、建設・維持管理コストが別々にかかる点を問題視。その結果、2棟の一括建て替えに整備方針を転換、一つにまとめた敷地に一つの建物(仮称・四番町公共施設)を建設するプランに変更するとした。
新たな案では、地下1階地上13階建て延べ1万0887平方bの建物に保育園(2・3階、1640平方b※園庭460平方b)▽児童館(地下1階・4階、1080平方b※屋上広場120平方b)▽図書館(地下1階・1階、1750平方b)▽区営住宅(6〜13階、4497平方b54戸)▽職員住宅(5〜7階、1500平方b23戸)▽区民集会室(1階、115平方b)▽防災備蓄倉庫(1階、100平方b)―などの機能を集約する計画とした。
その後、現地視察などを踏まえて実施した区議会都市基盤整備特別委員会では、新耐震基準で建てられたB棟は、大規模改修で機能を維持できるのではないかという意見が出たため、区は、8月下旬に予定している委員会で、段階的建て替えと一括建て替えの両案についてそれぞれメリット、デメリットを示し、一括建て替えの合理性を説明する考え。
最終的に議会の了承が得られれば、新たな整備方針に基づき17年度に基本設計、18年度に実施設計を進める方針だ。
四番町公共施設の再整備に関する基本構想策定支援業務は類設計室(大田区)が担当した。
提供:建通新聞社