金沢市の片町や武蔵町など中心市街地を通る国道157号沿い都心地区において、老朽ビルなどの建て替えが急がれている。片町地区では1970(昭和45)年以前に建てられ、耐震性が低い老朽化建物が7割を超えており、市は再整備に向けた財政的支援を国や県に要望している。
金沢市の都心地区は昭和30年代から40年代にかけて、地上3階建て以上の耐火建築物を帯状に建てて防火帯にする「防火建築帯」として整備。現在も当時のビルが多く残り、その後背地には老朽化した木造住宅が密集している地区もある。
都心地区全体では、70年以前に建てられた老朽化建物が今でも4割以上を占め、その大半が片町地区に集中。一方、香林坊や南町・上堤町、武蔵(下堤町含む)地区では徐々に建て替えなどが進み、その割合は2割前後と少なくなりつつある。
しかし、こうした老朽化建物は耐震性の確保が難しく、オーナーの資金不足や床需要の低下も建て替えが進まない要因となっている。さらに安全性や美観の低下、市街地の空洞化を引き起こしかねず、災害時における緊急輸送道路の機能を十分に確保できないことも懸念されている。
市は現在、片町A地区(片町きらら)の再開発に続き、老朽化したビルや木造住宅が密集する金沢駅武蔵南地区の再開発を促進し、片町地区でも民間による再開発の初動期活動を支援。都市の強靭化に向け、老朽化建物の早急な再整備を強く訴えていく方針だ。