サッカーJ3ブラウブリッツ秋田が実現を目指しているサッカースタジアムの整備に向け7日、「スタジアム整備のあり方検討委員会」の第1回会合が秋田市山王のルポールみずほで開かれ、委員21名が出席した。同委は今月下旬以降に行われる第2回、11月に開催予定の第3回で本県に適したスタジアム整備の方向性を検討。12月に開催予定の第4回で中間報告を取りまとめ、来年2月議会で報告する。
検討委は、ブラウブリッツ秋田のJ2リーグ昇格の要件を満たすスタジアム整備を検討するもの。本県には八橋運動公園球技場、同陸上競技場、県立中央公園球技場があるが、観客収容数、諸室設備、照明装置、屋根など、いずれもJ2施設基準の主要要件は満たしていない。
県は平成24年度に、県内の主要な陸上競技場や球技場を改修した場合の費用や課題などを「魅力あるスタジアム整備調査事業」として調査。改修の概算費用を八橋運動公園球技場は約46億4,000万円、同陸上競技場は約17億9,000万円、県立中央公園球技場は約60億8,000万円、秋田市八橋に新スタジアムを建設した場合の費用を約59億1,000万円などと試算していたものの、具体的な整備構想を取りまとめるまでには至らなかった。
その後、チームはJ3に参入。今年3月にはブラウブリッツ秋田後援会(小畑宏介会長)らが整備を求める18万筆の署名を佐竹敬久知事や穂積志秋田市長に提出したほか、今期はブラウブリッツ秋田もシーズン前半を首位で折り返している。
さらに、国も「日本再興戦略2016」において、スポーツ市場規模を5.5兆円(27年度)から37年度には15兆円に、スポーツ実施率を40.4%(同)から33年度には65%に拡大・向上させる数値目標を示しているほか、スタジアム整備の計画策定支援などの第2期募集を今夏中に公募する予定としているなど、県内外でスタジアム整備に向けた機運は高まっている。
今回、設置した検討委では整備に向けた基本的な方向性や財源などについて検討。委員は県、関係市、スポーツ関係団体、観光団体、経済団体などの関係者21名で構成しており、7日の会合では委員長に公益財団法人秋田県体育協会の齊藤譲専務理事を選出した。
初会合ではチーム後援会の小畑会長が「スポーツを通じた感動や秋田の誇りなど、単純なサッカースタジアムではなく『秋田を元気にしたい』というブラウブリッツ秋田の企業理念を果たせるスタジアムが望ましい」、ブラウブリッツ秋田の岩瀬浩介社長が「チームのためではなく『まちづくりや秋田のため、子どもたちのため』が大前提」として、国の募集にも積極的に手をあげる意向を示した。
ほかの委員からは「まずはコンセプトをしっかり決めるべき」「運営形態などソフト面にも重きを置いたほうがよい」「利便性も地域活性化のポイント」「冬期の活用をしっかり考慮した複合的な考え方を」といった提案や、「ブラウブリッツ秋田が県民に何を求め、財源についてどう考えているかなど、明確な方針を出すべきだ」「スケジュールをしっかり決めたうえで、委員が今回の件を語り、県民・市民を巻き込むようなプロセスが必要」といった意見が出された。
検討委は今後、今月下旬または9月上旬頃に行う第2回会合と、11月に予定する第3回会合において、秋田のまちづくりにおけるスタジアムのあり方や、収容人数など基本施設の規模、施設に付加されている機能例、建設費、運営収支、運営手法などを検討。12月の第4回会合では検討内容を再確認し、来年2月議会で中間報告を行う予定。
提供:秋田建設工業新聞社