三重津海軍所跡ガイダンス施設基本計画策定委 屋外・展示一体的に連動する整備 2015年7月に世界文化遺産に登録された三重津海軍所跡(佐賀市川副町)のガイダンス施設基本計画策定委員会(会長・有馬學福岡市博物館長)の第3回会議が26日、佐賀市の佐野常民記念館であり、同基本計画案について協議した。会議の中で事務局は整備の基本的な考え方として、同跡に隣接する佐野常民記念館の活用を前提に屋内展示(ガイダンス施設)と屋外展示が一体的に連動する整備を目指す方針を示した。
三重津海軍所跡は「明治日本の産業革命遺産」の構成資産として15年7月に世界文化遺産に登録され、登録決議時のユネスコ勧告で資産の修復・整備活用に関する計画の策定を求められている。このため、同市では16年度から同計画の策定作業を進めており、この中にガイダンス施設整備を盛り込む方針。
会議では事務局がガイダンス施設の整備方針や展示のゾーニング、事業の実施期間などを説明。ガイダンス施設については佐野常民記念館を活用し、増築および改修を実施して三重津海軍所跡に関わる展示の充実を図る。
具体的には1階に同跡の主要展示室や映像ホールなどを設け、三重津海軍所が成立するまでの歴史的背景や造船、修船に関わる活動の解説、地下遺構や出土遺物に関する展示、デジタル機器を使った画像の放映などを行う。
また、屋外展示では地形や周辺景観とともに三重津海軍所跡のスケールを体感し、海軍所稼働時のイメージを補強するデジタル技術を駆使したコンテンツ、平面表示などにより遺跡がもつ本物感や空気感を表現。屋内展示と屋外展示が一体的に連動する整備を目指す。
事業の実施期間は17年度から5年間を短期とし、その期間で基本設計(屋内展示、屋外展示)、屋内展示整備、史跡指定地からの駐車場移転、発掘調査および文献調査を行う。ガイダンス施設については21年度にオープンする予定。
会議では「世界遺産になっただけで客が来る時代ではない。そういう中で、ガイダンス施設の果たす役割は大きい」「ストーリーのある展示が必要」「展示方法として歴史的前提も含め景観も合わせて説明した方が良い」などの意見が出た。
ガイダンス施設の基本計画は8月31日または9月1日に開催する第4回会議でまとめる予定。