国土交通省徳島河川国道事務所が整備を進める四国横断自動車道(新直轄区間)のうち、勝浦川渡河橋「津田大橋」(仮称)の整備に関する環境保全検討委員会(委員長・中野晋徳島大学環境防災研究センター教授)は7月28日、徳島市内で第4回会合を開いた。2016年度に実施した環境モニタリング調査結果や橋梁型式・デザインの報告が行われた他、着工前の1年間にはモニタリング調査を必ず実施するなど、同調査計画の見直しを決めた。今後は橋梁の詳細設計完了を急ぐ一方、18年度以降早期の着工を目指して、予算確保など必要な準備を急いでいく。
前回の第3回会合(16年2月23日開催)から17カ月ぶりの開催。前回では、橋梁構造(橋梁型式)や環境保全対策、モニタリング計画などを決定。橋梁型式について「5径間(最大スパン長134・5b)で桁高3・6b」とする案を最も優位とする事務局側(徳島河川国道事務所)の提案が了承され、これを受けて同事務所では、16年度から橋梁詳細設計に着手していた。
対象となる津田大橋は、徳島東インターチェンジ(IC、仮称)〜小松島IC(仮称)間7・7`のうち、津田高架橋(津田地区)と大神子第1トンネル(大原地区)間の勝浦川に架かる橋梁。橋梁諸元によれば、橋長544・5bの鋼5径間連続鋼床箱桁橋(B活荷重、設計速度100`)で、下部は柱式橋脚、基礎はP2〜P4(左岸→右岸)が鋼管矢板基礎、P5がニューマチックケーソン基礎の構造となっている。詳細設計はオリエンタルコンサルタンツ徳島事務所(板野町)が担当。
型式・デザインは、前回の会合で示した予備設計案から風洞実験により桁高さを3・6bから2・9bに変更。軽量化が図られたことから橋脚を細くし、河川幅(483・6b)に対する橋脚占有率(橋脚阻害率)を6・0%→2・9%と大幅に低減できたため、桁下空間面積が7565平方b→8332平方bに拡大でき、圧迫感をなくした環境に配慮した型式とした。また、橋脚向きも高精度な流況解析を実施し、斜角を再検討し向きを流下方向に合わせるなどし、より影響の少ないものにしている。
施工に当たっては、水質汚濁対策や騒音・振動対策の他、水深の浅い範囲のみに仮桟橋を設置し、水深の深い箇所は台船施工とし、仮桟橋の設置範囲を最小にするなど、河川環境に十分配慮した施工を図る。また、橋桁の色について、河川上は「B系色(青)」、内陸部(高架橋)は「N系色(グレー)」とした周辺の特徴などを考慮し、河川部は「B系色(青)」、高架橋は「Y系色(コンクリート近似)」を採用。津田高架橋との掛け違い部の煩雑感低減も図る。この他、透過性に優れる鋼製防護柵とそのトップレールに接する形状のフラップなども採用し、内部の景観にも配慮した橋梁を見込んでいる。
なお、同橋梁は阿南IC〜津田IC間14・9`内に位置し、津田IC〜徳島東IC間2・8`が20年度に供用するのに合わせ、遅延のない供用を目指す区間に位置付けられている。区間の詳細な工程はもともと明らかにされていないが、同橋梁部分については、順調なら17年度から準備工、同年度中に下部工事に着手するなどの見通しが当初示されていた。今回の会合では、こうしたスケジュールをいったん白紙とし、当面事業を休止(環境モニタリングも一応データは取れたとして原則その間は休止)するとして、着工のめどがついた時点で「着工前の1年間は必ず環境モニタリングを実施する」とする調査計画の見直しを提案した。
モニタリング調査計画の見直しについて、委員からは休止期間の長さによってはデータが反映できなくなるとし、できるだけ早い時期で事業再開を求める声があった。事務所は今後、早期の着工を目指して、予算確保など必要な準備を急いでいく考えを示した。
提供:建通新聞社