小松精練(能美市浜町、池田哲夫代表取締役社長)は、炭素繊維複合材の製造能力を強化するため、新工場を計画している。早ければ来年中に具体化し、19年の完成を目指す。
熱可塑性炭素繊維複合材「カボコーマ・ストランドロッド」が、建物の耐震補強材として1年後をめどにJIS規格(日本工業規格)の認定を受ける見込みになった。将来的な同製品の需要増を見据え、新たな製造工場を整備する。
同社の中山賢一会長は建設場所について、能美市と白山市にある各工場敷地内や小松市内の遊休地のいずれかで検討するとし、「物流面などを考慮し、最適な場所を選びたい」と述べた。建設規模は未定ながら、「製造ラインは3〜4レーンで月産能力を現在の1万メートルから3〜4万メートルに増強したい」と話し、投資額は本社工場の製造ライン移行なども合わせて約40億円と示した。
この製品は、同社と金沢工業大学革新複合材料研究開発センター(ICC)が共同で開発した。能登の伝統産業である組紐の技術と現代の炭素繊維技術を融合。軽量でありながら、強さとしなやかさを兼ね備えたロープ状の耐震補強材だ。長さに制限がなく柔軟性に富み、配置の自由度が高いという。錆びず、結露もしないので耐久性にも優れている。
すでに同社の旧本社棟を改築した展示施設「fa―bo」や重要文化財「善光寺経蔵」(長野市)の改修に使用されている。炭素繊維関連のJIS規格化は日本で初めてとなり、正式な耐震工法として認定されれば、普及が急速に進む可能性もある。