金沢市が文化勲章受章者で名誉市民第1号の建築家・故谷口吉郎氏の生家跡地に整備する「建築文化拠点施設」の安全祈願祭および起工式が28日、寺町5丁目の建設現場で執り行われ、関係者約50人が工事の無事完成を祈念した。19年夏の開館を予定している。
同施設は、藩政期以降の歴史的建造物や近代建築、魅力的な現代建築など、金沢の重層的な建築文化を国内外に永続的に発信する拠点として整備。規模はRC一部S造地上2階地下1階建て延べ1476平方メートル。設計は吉郎氏の長男である世界的な建築家・谷口吉生氏(谷口建築設計研究所)が手掛けた。
内部には谷口親子の作品をはじめ、金沢の建築やまちづくりなどを展示・紹介するコーナーを設けるほか、吉郎氏の代表作である迎賓館赤坂離宮の和風別館「游心亭(ゆうしんてい)」の和室広間を再現。施設脇には寺町台と犀川左岸を結ぶ遊歩道も整備する。
工事は、建築を清水・豊蔵・双建JV、電気設備を柿本・ワイディJV、空調設備を松下管工・協同設営JV、給排水衛生設備を松下管工業がそれぞれ担当する。
安全祈願祭では、施工者を代表して清水建設の山口眞樹常務執行役員北陸支店長が鎌入れ、山野之義市長が鍬入れ、設計者の吉生氏が鋤入れし、工事中の安全を祈った。
式で山野市長は、「市民や来街者が美しい建築が美しいまちをつくることをあらためて考えることができる施設にしたい」とあいさつ。その後、吉生氏が設計概要を説明し、「和風建築がどのように設計、造られ、利用されているかを皆さんに分かってもらえたら。日本と伝統的な建築の関係も展示できたらいい。広く世界的なレベルで建築文化を発信してほしい」と施設の完成に期待を込めた。