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建通新聞社(東京)
2017/07/31

【東京】都 公文書館をZEB実証建築に

 東京都財務局は、改築する東京都公文書館を「ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)」化の“実証建築”として整備する。熱負荷の低減や設備システムの高効率化など省エネ・再エネ技術を積極的に導入することで、エネルギー消費量を設計段階で約9割削減するという。都が建物や設備の仕様を明確にした上で契約手続きを順次進め、2019年10月末の工期で完成させる。建物を運用しながら省エネ技術などの検証やチューニングを行い、他の都有施設に反映させる考えだ。
 公文書館は、都立武蔵国分寺公園の西側にある都有地に移転する格好で新たな施設を建設する。規模は鉄骨鉄筋コンクリート一部鉄骨造3階搭屋1階建て延べ1万0259平方b。文書の保存や展示に加え、学習、調査研究などの機能を持たせる。
 都は基本設計の段階からZEB化を前提とし、さまざまな省エネルギー技術や再生可能エネルギーの導入に向けた検討を実施。建築物の熱負荷の低減として▽屋根の二重スラブ化▽屋根の断熱強化▽外壁の二重化と外断熱強化▽深い庇(ひさし)による日射遮断▽開口部の断熱強化―を実施するとともに、設備システムの高効率化として▽空調の最適制御(間欠運転)▽高効率空調機器▽タスクアンビエント照明―の採用を決めた。
 さらに、16年度には建築技術革新支援事業として、年間を通じて優れた発電電力量を確保できる太陽光発電システムを設置するための技術を募り、パナソニック環境エンジニアリング(港区)の太陽電池モジュールを採用することを決定。改築に当たって、屋根全面に太陽光発電パネル(出力280`h)を設置することにした。
 建築工事は7月28日付で一般競争入札を公告しており、設備工事についても今後、順次契約手続きを進める。工期は19年10月31日。設計は佐藤総合計画(墨田区)の担当。

「ひとくちメモ」
 経済産業省が2016年にまとめた定義によれば、ZEBは「快適な室内環境を保ちながら、高断熱化・日射遮蔽(しゃへい)、自然エネルギー利用、高効率設備により、できる限り省エネルギーに努め、太陽光発電などによりエネルギーを生み出すことで、年間で消費する建築物のエネルギー量が大幅に削減されている建築物」を指す。設計段階でエネルギー使用量を省エネ基準より50%以上削減することをZEB基準として設定している。都は都有施設の整備に当たり、通常はエネルギー使用量の「3割削減」を基本に設計を行っている。

提供:建通新聞社