新耐震基準(1981年)以前に建てられた分譲マンションのうち、耐震診断を実施した組合は全体の約3割、未実施の理由で最も多かったのは「検討したが合意せず」で全体の5割超―。中央区が昨年実施した区内の分譲マンションを対象としたアンケートの結果からこうした実態が浮かび上がった。
同区では区民の多くがマンション暮らしという居住形態。このため、建物の維持管理の適正化や耐震性の確保、居住性の向上は良好な地域環境の整備を進める上で重要な要素だが、その実態については十分に把握できていない。このような地域特性を踏まえ、区は昨年7月から12月にかけて分譲マンションの管理組合向けに実態調査を行った。調査結果は今後のマンション施策を展開する際の基礎データとする。
実施した調査は@建物の基本情報の整理を主としたストック調査A管理組合へのアンケート―の2点。京橋地区297棟、日本橋地区419棟、月島地区150棟の合計866棟が対象だ。
管理組合の活動について聞いたところ、管理組合の設立割合は98・2%だった他、年に数回の総会を開いている組合の割合も98%と高かった。管理費や修繕にかかる費用は、全体の99%で積み立てがなされているが、それぞれ6カ月を超えて滞納している組合員が21%以上ることも分かった。
また、管理上の課題として多かった意見は「生活ルールを守らない」が最多で全体の約4割、「管理組合の役員のなり手がいない」が3割強という結果だった。
計画修繕についての聞き取りでは、設計図書を保有している組合は96%。長期修繕計画を保有している組合の割合は87%だが、築年数別では91年以前の建物で保有率が下がっており、「ない」と「作成中」を合わせた値は25・5%から33・4%となった。
大規模修繕を行った組合は57%で、2001年以前の建物のうち8〜9割の組合が実施したと回答した。修繕の内容は「外壁修繕」が95・5%でトップ、「鉄部塗り替え」(93・4%)「屋上防水」(89・5%)がこれに続いた。
耐震化への取り組みについては、新耐震以前のマンションのみを対象に調査。耐震診断を受診した組合は31・2%だった。未実施の理由については「検討したが合意に至らなかった」という回答が52・8%で最も多かった。合意しなかった理由としては「費用がない」(50%)「資産価値が下がる恐れ」(44・4%)などとなった。また「高齢化で関心が低い」(11・1%)という意見もあり、受診の前提として、住民間の合意形成が難しいことも分かった。
提供:建通新聞社