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建設経済新聞社
2017/07/26

【京都】府管理施設をフィールドに メンテ技術等を研究開発 京大、技術SCと包括協定

 京都府、京都大学学際融合教育研究推進センター、一般財団法人京都技術サポートセンターは25日、「インフラ維持管理におけるメンテナンス技術の推進に関する包括協定」を締結した。
 京都市上京区の京都府庁で開かれた締結式には、山下晃正京都府副知事、中村佳正京都大学学際融合教育研究推進センター長、神敏郎京都技術サポートセンター理事長が出席し、協定書に署名した。
 山下副知事は内閣府創設の国家プロジェクトのSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)に触れ、「SIPで京大が得た知見を京都府で生かす。インフラ施設は事前の予防保全がコストダウンにつながる。府下市町村とともにオール京都でインフラを支える人づくりにも生かしたい」、中村センター長は「喫緊の課題への処方箋となる」、神理事長は「研究成果の提供、助言をいただき、アセットマネジメントの取り組みを強化・充実したい」と語った。
 協定の目的は、インフラ施設の維持管理に関する技術研究や技術的助言等について幅広く相互に連携・協力し、府民の安心・安全はもとより、将来にわたりインフラ施設を良好に保ち、京都府の発展と成長に寄与すること。
 三者が連携・協力する内容は@府の管理施設をフィールドとしたメンテナンス技術の研究開発及び劣化損傷機構の解明Aインフラ維持管理に関わる点検、診断及び補修方法等に係る技術的助言B研修・交流などによる人材育成Cその他、メンテナンス技術の推進のために三者が必要と認める取り組み。
 京都大学学際融合教育研究推進センターのインフラシステムマネジメント研究拠点ユニットの宮川豊章特任教授、塩谷智基副ユニット長が試行的に取り組んでいる府道京都守口線「御幸橋」の腐食生成物の物理・化学的評価及び維持管理手法確立(実構造物における腐食生成物の調査結果から環境依存性を考慮したひび割れ幅を用いた維持管理のフロー作成)、京丹後市「大門橋」の振動発電インフラ点検診断振動デバイスの開発と実装(固有振動をモニタリングすることで社会基盤インフラの健全性を評価し、高効率振動発電デバイスの実装による維持管理システムの構築)について解説した。
 藤森和也京都府建設交通部技監は「昨年10月の経営管理大学院経営研究センターとの包括協定はデータベース、マネジメントシステム、ライフサイクルコストを予測するアセットマネジメントのソフト面での協定。今回の包括協定とあわせ両方でインフラ老朽化対策を進めたい」と述べ、「検査員のスキルに個人差があるが、客観的にわかるシステムができれば、経費や時間が節減できる」と期待を寄せた。
 宮川特任教授は「5〜6ヵ所程度検討しているところがあり、30年度から取り組みたい」と今後の見通しを示した。