22日から23日にかけて県内に発生した大雨により、県内各地で県が管理する道路の冠水や土砂崩れなどが発生した。住家の床上浸水や床下浸水、それによる建物の半壊などが発生。道路では国道105号の由利本荘市軽井沢から大仙市南外で土砂崩れ、県道田沢湖西木線の仙北市西木町桧木内で道路の決壊が起こるなど、多くの路線で全面通行止めとなった。
県道路課によると、被害の大きかった国道105号では、由利本荘市側で車道部の決壊、大仙市側で土砂の崩落が起き、走行が困難なため通行止めを実施。大仙市側の一部で行われていた土砂撤去作業も、湧水により作業が中止となっている。田沢湖西木線の仙北市桧木内地区では道路が決壊し、23日早朝から全面通行止めを実施している。
国道285号の五城目町富津内でも法面が崩落し、能代五城目線から500m地点のみ片側交互通行となっており、大台トンネルの両側坑口でも土砂崩落があり、旧道を迂回させている。国道341号の大仙市協和中淀川では諏訪橋の橋台背面で土砂が流出して全面通行止めとなり、雄和協和線の秋田市雄和椿川付近でも土砂崩れが発生した。
また、横手大森大内線の横手市大森町坂部から上溝では土砂の崩落や道路の冠水で通行止めとなり、大森町八沢木大平の11世帯37人、中ノ又の18世帯58人が一時孤立、23日夕方に解消された。神岡南外東由利線でも土砂崩落、道路冠水による通行止めで86世帯が一時孤立するなど、24日午前8時現在で全面通行止めは21路線23カ所にのぼった。
河川砂防関係では、22日から23日にかけて県が管理する7河川で氾濫危険水位を、4河川で避難判断水位を超過したが、24日朝にはすべての河川で避難判断水位以下まで水位が低下した。由利本荘市の芋川や大仙市の福部内川でも越水し、河川施設の被害状況について調査している。
都市公園では県立中央公園にある青少年教育ゾーンの駐車場下で法面1カ所が崩落、公園内の秋田河辺雄和自転車道下の法面も4カ所崩落した。流域下水道では雄和幹線マンホールポンプ場2カ所が冠水のため送水を停止した。空港や港湾、県営住宅では被害がなかった。
県災害連絡室によると、建物被害のうち、住家は大仙市や由利本荘市、仙北市などで床上浸水、床下浸水が多く発生し、五城目町で全壊した住家も出た。
また、農林水産部によると、県内全域で農地の冠水や土砂流入などの被害が確認され、特に秋田、由利、仙北、平鹿の被害は相当程度にのぼると見込まれている。
農地・農業用施設では横手市雄物川町の大堤ため池(受益面積8ha)や、三種町鵜川の上笠岡2ため池(同0.3ha)で決壊が確認されているほか、農地の土砂流入や畦畔の崩落、農道の崩落、水路の決壊など、被害は広範囲に及んでいる。
林地・林道施設では、由利本荘市で林地の土砂崩れ(24日8時時点で6件)、林道の法面崩落等(同7件)の被害が確認されている。県農林水産部ではこれら被害について本格的な調査を行い、必要な対策を検討するとともに、被害額の確定後に災害復旧事業の申請を国に行い、早期復旧に努めるとしている。
また、教育庁の関連では秋田市の日新小学校の敷地内にあるマンホールの脇が3カ所陥没。文化財では大仙市にある払田柵跡外郭南門の東側丘陵斜面が崩落した。保呂羽山少年自然の家に通じる県道でも2カ所で法面が崩れ、通行不能に近い状態となっている。
県内のJRでは、奥羽線の峰吉川から羽後境間の2カ所で線路の盛土が崩落。秋田内陸縦貫鉄道や由利高原鉄道、秋田空港、大館能代空港などでは施設被害、人的被害はなかった。
提供:秋田建設工業新聞社