福井県建築士会理事の松平久芳氏が17年の建設事業関係功労者等国土交通大臣表彰に輝いた。長年、建築設計監理業務に精励するとともに、団体役員として業界発展への寄与が評価された。
「受賞を聞いたときは、自分もそんな年齢になったのか」と実感したと笑う。「建築士会の支部長を8年間務め、いつのまにか時間が経過していた。会に育ててもらい、評価して頂いたことを嬉しく思う」。
大阪の建設会社に勤務し、地元企業に転職。81年の豪雪時は福井医科大学(当時)の体育館工事の所長を務め、大雪に苦労した。
「入職したての若いころは、建築は机の上で計画して監修するものと思っていたが、技能や技術が必要と痛感した」と振り返る。
その後、技能検定の検査官となり30年以上従事。その功績が認められて、建築技能検定功労として09年に知事表彰、10年に厚生労働大臣表彰を受賞。
現在は福井県建築住宅センター構造判定課分室に所属。建築物の構造の審査を行い、指摘事項を設計者へ伝える、橋渡し役を務めている。
「人の間と書いて人間。間を取り持つのはチームワーク、人の和が大切。感情的になると正確に物事が伝わらない。自分なりに昇華すること」と強調。
後継者育成については、「技術や技能を、若い世代に上手に伝承するのは、大変に難しい。気持ちだけで道筋は見えていないが、探求する努力を怠らないでいたい」。
「建築業界が魅力あふれる職場であってほしい。十分にその価値や希望のある分野だと思う。若手の方々と共にアピールし、いい未来をつくっていけたら」などと展望を語る。
まつひら・ひさよし
65歳 人と共にチームの中で動くのが好きと語り、自治会やまちづくり協議会の要職を多数務める。趣味はコーラス。