高知県は、工事を中断している都市計画道路はりまや町一宮線(はりまや工区)について、まちづくり協議会で出された提言書などを基に、工事再開か事業中止かを2017年度内に最終判断する。
同工区は、高知市はりまや町1丁目の国道32号かるぽーと前交差点から、北本町の県道高知南国線交差点までの延長750b。JR土讃線連続立体交差事業と高知駅周辺土地区画整理事業に関連する街路事業として1995年に都市計画決定され、00年11月に事業認可を受けた。11年3月にはりまや橋小学校北東角から北本町までの区間が供用開始となったが、それ以南の延長283bについては、並行する新堀川に生息する希少動植物の扱いや、新堀川を覆うことへの反対意見が続出し、工事は6年間中断した状況が続いている。
県は中断中も交通状況や自然環境の推移を観測。北側は区間が4車線になり交通量が激増しているものの、南進方向は4車線から2車線となり、電車通り交差点で右折レーンがないため渋滞が発生している。周辺の生活道を抜け道として通過する車両も多く、安全上の問題も発生している。また既存の石積護岸の老朽化も目立ち、このまま放置すると危険な状態であるとしている。
中断区間の現段階での計画は、現況の1車線道路を全幅26〜27bの2車線道路に拡幅。工事に支障がない既存石積みは残し、新堀駐車場部のオープンスペースは石積護岸で整備する。また工事完了後に生物が定着しやすいよう、オープンスペースには干潟を再構築させるとしている。
6月20日に開かれた第1回協議会では、これまでの経緯や調査結果の報告、工事中断区間の現状、工事中断区間の現在の計画などを報告した。9月に開く第2回協議会では、第1回協議会で出された意見や、8月10日まで公募しているパブリックコメントへの対応策を示す他、県が工事中断区間の整備の在り方について示す。県はこれを受け、再度パブリックコメントを実施し、残り1〜2回開く協議会で提言書を取りまとめる。
提言書は、交通の状況やまちづくりの面から見た工事中断区間の道路整備の在り方、新堀川に生息する希少動植物の保全・水辺の活用、新堀川周辺の史跡などの保全・活用についてまとめ、県に提出する。これを受け県は、17年度内に工事再開か事業中止かの結論を出す予定。
提供:建通新聞社