徳島市は、コンパクトシティー+ネットワークのまちづくりを推進する立地適正化計画の策定について、有識者による検討を開始した。12日に徳島市内で検討会の初会合(委員長・山中英生徳島大学大学院教授)を開き、市の現状の確認や今後の進め方について議論した。計画の策定や検討会の支援業務などはオリエンタルコンサルタンツ(東京都渋谷区)が担当する。今後は基礎調査や課題分析、基本的な方針を設定した上で、各誘導区域・誘導施設の他、誘導施策を検討し、年度末までにたたき案を作成する。
人口減少や高齢化が進む中、社会変化に的確に対応し都市機能を集約化した利便性の高い、コンパクトなまちづくりが求められている。同市でもこれらを念頭に、魅力とにぎわいに溢(あふ)れ、市民が将来にわたって安全・安心に暮らせる取り組みを進め、総合ビジョンに掲げた「笑顔みちる水都 とくしま」の実現を目指している。地方創生の下、同市が将来にわたって発展を遂げていくためにも、国からの支援が得られる同計画の策定が必要なことから、市が目指すまちづくりの方向性に見合った誘導区域を設定し、誘導施設の整備などを行う集約型都市の構築に向け、必要な検討を行うことにした。
検討会では、同市の都市構造上の基礎調査・課題分析、関連する計画などを踏まえ、まちづくりの方針、課題解決のために必要な施策・誘導方針(目標値も含む)を検討する。また、集約型都市構造の構築には都市機能や居住機能の誘導が求められるが、必要な地域公共交通についても検討することにしている。
当日は、「市がどのような課題を抱えているのか」「長期を展望しつつ、持続可能な都市としてどのような姿を目指すべきなのか」について議論。委員からは人口減少や空き家の問題、災害想定(津波浸水)などを視野に、中学校区単位といった教育機関をコミュニティーの基本にするべきといった意見があった。ただ、20年後の姿を描くため、人口動態の最新の資料など、必要な情報の提示を事務局に求めた。
市は同検討会を今後4回ほど招集する。市民へのアンケート調査なども反映させ年度末にたたき案の作成と市都市計画審議会の開催、市議会への中間報告を予定している。続けて2018年度は5〜6月の意見交換会、11月のまちづくり方針、各誘導区域、施設案の決定など素案作成と議会報告を行い、12月のパブリックコメントなどを受けて19年2月の最終案を議会に報告し、策定・公表することにしている。
なお、同計画の策定と並行して市は、徳島駅周辺のにぎわいや魅力づくり、公共交通機関などの利用促進に向けた鉄道高架に伴う「徳島駅周辺まちづくり計画」の策定(見直し)も進めており、こちらは18年2月までに素案づくりを行う予定。両計画は、遠藤彰良市長が会長を務める市の庁内会議「徳島市立地適正化計画等策定会議」の中で整合性を図りながら取りまとめられることになる。
提供:建通新聞社