国土交通省は、中小建設業にICT土工の裾野を拡大する「i−Construction普及加速事業」の支援対象となる8県を決め、同事業を本格的にスタートさせる。今後、各県が発注するモデル工事の現場に専門家を派遣し、受注者や自治体の監督職員にICT活用による施工の効率化を指導する。発注者と受注者に加え、建設業団体や設計・測量団体、建機レンタルなどを集めた支援協議会を受け皿に、モデル工事で得られた知見を県内の関係者に波及させる。
普及加速事業では、地方整備局ごとに1件以上のモデル工事を支援する。四国地整は徳島県を支援することが決まった。
ICT土工は、2016年度から直轄工事で本格稼働したものの、現在のところ自治体への普及は限定的。国交省は、建設業全体の生産性を向上させるには、ICT土工の裾野を中小建設業に拡大させる必要があるとしており、そのためにも小規模工事を発注する自治体の理解を深める必要もある。
普及加速事業では、国交省が費用を負担し、モデル工事を発注する都道府県に日本建設機械施工協会(JCMA)などから専門家を派遣。3次元データを活用した施工計画の立案を支援する他、丁張りの設置の省略により、ICT建機の能力を最大限に生かした施工手順などを指導する。
先行してモデル工事を実施した茨城県では、中小建設業がICT建機を購入した場合の投資回収モデルも構築した。
国交省によると、盛土1万2020立方b、掘削1万1400立方bの現場数量で積算した場合、建機レンタル、クラウドサービス、3次元設計データ作成などの外注経費は約244万円に上る。ICT建機を購入し、外注せずに3次元データを自前で作成すると、1万立方b前後の工事を年1回受注すれば、10年で投資を回収できるようになるという。
普及加速事業には、現場実演型でICT土工のノウハウを指導することで、施工の効率化とともにこれら投資効果を中小建設業に理解してもらう狙いもある。
提供:建通新聞社