香川県教育委員会は、このほど高松市サンポートに建設する新県立体育館整備の基本計画策定に関する建築事務所による検討状況を県議会に報告した。ゾーニング、施設配置計画、施設整備の検討に当たっての配慮事項に加え、基本計画策定の今後の進め方などを示した。県教委ではイベント開催機能を拡充する方針を示しており、建築事務所が見積もった160〜190億円の建設工事費はさらに増える見通し。完成時期も県教委が想定していた期間より9カ月長くなるとしており、県教委では完成予定時期を当初の2022年度から23年度に1年先送りすることも決めた。今後、アドバイザリーグループを設置するとともに、市場調査の実施を踏まえつつ基本計画を策定する。
新県立体育館の基本計画策定業務は2月に石本建築事務所大阪支社に委託。5月末までに同計画案がまとまった。敷地条件として、計画地面積は約3万6400平方b、用途地域は商業地域。建ぺい率80%、容積率800%(一部400%)などと整理。
ゾーニングの検討でサンポート高松のA1、A2、B1、B2街区を計画地として施設配置を検討し、B1街区とB2街区の間にある市道(埠頭「ふとう」東2号線)は地下駐車場進入路となっているため廃止は困難。A1、A2、B1街区の間にある市道(港頭東線、歩行者専用道路)は施設配置計画の検討状況に応じて廃止または移設の検討が必要だとした。
施設整備の検討では工事発注時期を3年後の20年度と仮定し、延べ床面積2万8000平方b〜3万平方bの想定だと、建設工事費は160億円〜190億円(税込み)と試算。交流機能を充実させた場合の諸室の追加や、規模の変更による延べ床面積などへの影響、地下施設の配置、労務単価の上昇や撤去が必要な埋設物の状況などにより、工事費はさらに変動するとした。
また、設計費、工事監理費、地質調査費、インフラ整備費、道路上のデッキ整備費は別途必要とし、整備スケジュールも最低、基本設計・実施設計で32カ月以上、建設工事費で30カ月以上の期間が必要と試算した(施設規模、内容などの変更は除く)。県教委はイベント開催機能の拡充方針を打ち出しているため、工事費は増加する見込み。今後、スポーツやMICEなど各種イベントや観光の他、アリーナ建築など全国的な状況を熟知し知見を持つ専門家から助言を得るため、「アドバイザリグループ」を設置する。専門家に委嘱する形で専門分野からの知見を得る考え。
また、市場調査を実施する専門コンサルなどとの間で7月下旬から8月上旬に契約を締結し、10月31日まで県外施設の調査・整理分析や、コンサートの興業主など関連団体へのヒアリング調査と分析を実施する他、施設整備、運営面など利用促進方策の検討も行う。
県教委はこれらを踏まえた上で施設整備内容を検討。新たな基本計画を年度内に策定する。早ければ年度後半に基本・実施設計を委託する公算が大きい。
提供:建通新聞社